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トップ > スフィンクス > スフィンクス - 人気ブログ(Blog)検索結果詳細 (2008年8月29日 2時)
『ニッポン経済の「ここ」が危ない!』 (竹中平蔵、幸田真音)
逢坂ユリさん <資産運用コンサルタント>あいさか・ゆり=ニューヨーク大学卒。大手外資系金融機関を渡り歩き、資金調達から運用、外国為替カスタマー・ディーラー、債券セールスなどを経験。05年に独立・起業し、幅広く活躍。執筆・講演活動にも積極的で、07年4月よりTV・ラジオの経済・金融専門チャンネルでレギュラーコメンテーターとして出演。最新刊は『あなたを幸せにするお金のレッスン80』(成美堂出版) 小泉政権時代、抵抗勢力から強烈なバッシングを受けながら、どのように構造改革を推し進めていったか、族議員の暗躍で今、骨抜きになりつつある改革路線、金融立国ニッポンへの道筋、そして最後に今後の日本の未来への提言という、大きな4つのテーマについて、元総務大臣の竹中平蔵氏と、小説「日本国債」の著者の幸田真音氏の対談形式で展開している1冊。 今の日本経済や政治を理解するには最適。お二人ならではの歯切れのいい、リズミカルな展開で、政治・経済の苦手な方にもスラスラ読めること間違いなし。対談中に飛び交った経済の専門用語や、政治の歴史的な背景などに脚注があるのも嬉しいですね。 帯に「3時間で早わかり」と記されていた通りでした。お二人が経済の専門家で、海外の事情にも詳しいという共通点以外に、何と1951年生まれで同じ年齢だなんて……意外でした(お二人とも、もっとお若く見えるので)。 ということで、本書は読み物としても楽しめますし、まるで読みながら講演を拝聴しているような錯覚さえ覚えました。「サブプライムローン問題で欧米の金融機関が疲弊している今こそ、日本がグローバル市場に出て行くチャンスだ」という熱いメッセージには共感を覚え、そのエールに「そうだ! そうだ!」と声を漏らしてしまうほど(汗)。 「未来のために、百兆円の日本の外貨準備のお金をどう運用すべきか?」という、センシティブかつ最重要課題の一つにも触れられています。減点主義でリスク恐怖症のサラリーマンや役所の方に運用を任せるのではなく、プロを外資から招へいすべきだと。 また、日本の個人も投資に対してはまだまだ未熟なので、これからは欧米人のように、しっかり資産運用していくべきだとキッパリ。お二人ほど知的水準の高い論客で、その上、志の高い方は、書籍やマスコミを通じて引き続き我々に日本経済の「どこ」が危ないか、警鐘を鳴らし続けてほしいですね。 「どうせ内閣改造したって、政権が交代したって、日本は変わらないだろう」と思っている方にも読んでいただきたいです。この1冊で、現状の経済の基礎的な枠組みを知ることができ、そして世界の中で存在価値が薄れていっている日本がどうしたら再帰できるかも見えてくるでしょう。読後、素直に「もっと多くの本を読んで勉強しなくっちゃ~!」と久しぶりに思えた1冊です。 出版社:文藝春秋書名:ニッポン経済の「ここ」が危ない!著者:竹中平蔵、幸田真音定価:1050円(税込み)
作者: yomiuri_sanbu
更新日:2008年8月28日 7時11分
『「十五少年漂流記」への旅』 (椎名誠)
鈴木光司さん <作家>すずき・こうじ=『楽園』で作家デビュー。『リング』シリーズが計800万部のベストセラーとなり、ハリウッドで映画化。欧米を中心に講演活動を行うほか、政府の諮問機関「少子化への対応を促進する国民会議」委員を務める。著作が世界20ヶ国語に訳されている。最新刊『なぜ勉強するのか』(ソフトバンククリエイティブ) ぼくにとって、小説家としての原点となる作品は、一連の宮沢賢治作品と、ジューヌ・ベルヌの『十五少年漂流記』である。小学校4年のとき、宮沢賢治の伝記に感銘を受けて詩を書き始め、小学校6年のとき、『十五少年漂流記』を真似て子どもたちが巨大な筏(いかだ)で太平洋を横断する物語りを書き始めた。 処女作となる小説のタイトルは『七つの海の冒険旅行』。原稿用紙45枚まで書いたところで、ストーリーが破綻し、未完のまま終わってしまった。それから約20年が経過した頃、ぼくは、愛する女を追う男の意志が、1万年かけて太平洋を横断する物語『楽園』を書いて作家デビューを果たした。少年の頃に未完のまま放置された作品がようやく完成されたとみるべきであろう。男にとって、少年の頃の憧れは、特別に強いエネルギーを持つ。 ところで、椎名誠さんにとっての、作家としての原点は、ぼくと同じく『十五少年漂流記』である。氏は、物語の舞台となる島がどこにあるのかと疑問を抱き、仲間たちと探索の旅に出る。南米パタゴニア地方の太平洋岸に位置するハノーバー島か、はたまたニュージーランドから1000キロばかり東に位置するチャタム島か……。 小説に書かれている事実から類推して、一行は結論を出すに至るのだが、その旅の模様が、ときに爆笑させられるほど愉快なのだ。 出版社:新潮選書書名:「十五少年漂流記」への旅著者:椎名誠定価:1050円(税込み)
作者: yomiuri_sanbu
更新日:2008年8月27日 9時40分
『晩年』 (太宰治)
中村うさぎさん <作家>なかむら・うさぎ=コピーライターを経て作家デビュー。著書に『犬女(文藝春秋)』『愛と資本主義(新潮社)』など。「ショッピングの女王」をはじめ、実体験を赤裸々につづるエッセイストとしても注目される。 私は最近、仕事上の必要から太宰治を読み返している。太宰には、中学生の頃、ハマった。最初に読んだのは『人間失格』だ。難しいことは一切わからなかったが、太宰の言う「道化」の概念にいたく感銘を受け、以後、貪るように全作品を読破した。 今回、『人間失格』が本屋で売り切れだったため、短編集『晩年』(新潮文庫刊)から読み始めた。『晩年』なんてタイトルだから太宰の晩年の作品集かと思いがちだが、じつはこれは彼の処女作とでもいうべき初期の短編集なのだ。 当時、27歳の青年が、己の作品集に『晩年』なんて名前を付ける時点で、いかにも太宰らしい。作品の内容も、太宰的エキスがたっぷり詰まっている感じだ。ところで私は、太宰治が大嫌いである。中学生の頃には確かにハマったが、長ずるにつれ、その自意識過剰とナルシシズムが鼻につき、わざとらしい自虐も何やら薄汚い気がしてきて、20代中頃には、あれほどハマった太宰を蛇蝎(だかつ)のごとく嫌っていた。 で、今回、大嫌いなままに太宰を読み返しているのだが、この『晩年』に収められた短編『道化の華』は、特に私の大嫌いな太宰臭がぷんぷんと匂う作品でありながら、異様に心に残る作品だなぁと、しみじみ思ったのであった。 やっぱ、名作なんでしょうかね。嫌いだから名作だなんて言いたくないし、私のこの感想を聞いたら太宰が草葉の陰で欣喜雀躍(きんきじゃくやく)しそうで忌々しいんだけど、こんなにインパクトのある小説も珍しいよ、確かに。嫌い嫌いと言いながら、どこか不本意にも共感している自分がいたりして、本当に太宰は厄介だ。 『道化の華』に描写される、互いに相手の顔色を見ながら薄氷を踏むような気持ちでギリギリのギャグを飛ばし合う友人関係の在り方なんて、現代の「KY(空気読めない)」を恐れる人間関係の元祖みたいな気もして、なかなか興味深いのである。 そんなわけで、皆さんも、太宰治を読んでみてはいかがと、ここに推奨する次第だ。読んでみて好きになれば万々歳、たとえ嫌いでも何かしら考えさせられる(何故なら、嫌悪は己の何かの投影だからね)……太宰とは、そういう作家だ。 出版社:新潮文庫書名:晩年著者:太宰治定価:567円(税込み)
作者: yomiuri_sanbu
更新日:2008年8月26日 8時35分
『日本ホーロー看板広告大図鑑』 (佐溝力・平松弘孝)
泉麻人さん <コラムニスト・気象予報士>いずみ・あさと=『週刊テレビガイド』等の編集に携わった後、フリーコラムニストとして独立。『青春の東京地図(ちくま文庫)』『東京検定(情報センター出版局)』など著書多数。6月下旬『シェーの時代 おそ松くんと昭和こども社会(文春新書)』が刊行された。 長らく担当してきたこの書評ブログも、今回が最後になる。ここでは、僕自身の趣味の領域の本を主に選んできたので、鉄道やバス、昆虫、古き東京の写真集……といった、かなり片寄った感じのラインアップとなった。 で、最終回を飾るのも、そういった趣向の1冊である。日本ホーロー看板広告大図鑑──田舎の納屋とか、旧街道の商店の壁や軒とかに張り出されていた、往年の琺瑯(ほうろう)引き広告看板を一挙に集めた写真集である。 この種の本は、これまでにもなかったわけではない(僕もホーロー看板をテーマにしたエッセーを出している)けれど、本書ほど本格的なものには出会ったことがなかった。膨大な看板群をオールカラーで業種別に分類、博物学的な解説を加えた、マニアックな昆虫図鑑のようなスタイルに仕上げられている。 屈指のコレクター佐溝力氏の収集品を素材に、僕よりも若い世代の研究者(平松弘孝氏)が的確な解説を付けている。ホーロー看板は明治30年代前後に生産が始まり、昭和50年代頃まで細々と作られていたというが、いやぁこうやってまとめて眺めると、実に様々な商品広告があるものだ。薬に学生服、ふとん綿、カレー、ソース、電球、自転車……練炭や豆炭のような“消えた生活用具”も多い。 そして、特に昭和の前半くらいまでの広告は、商品のネーミングにも絵柄にも、何ともいえない味がある。〈シマズ イタマズ〉の標語のもと、ちょっと気味の悪い洋風美人が目薬をさす「ロート目薬」、今ではおそらく採用されないであろう「フケ妙」なる奇妙な名のフケ薬、あの「サロンパス」のタンザク形の看板の横には、こんな亜流が並ぶ。ケロンパス、サンパス、コリパス、コリサンパス……。 当時は規制もゆるやかだったのだろう。今どきの中国や東南アジア諸国の状況を笑えない。いや、思わず笑っちゃうような、のどかなユーモラスがあふれている。「仁丹」や「たばこ」「塩」……長く続いた商品の、歴代の図柄の変遷を紹介するコーナーも面白い。 懐かしい発色の看板の図版は、何度眺めても飽くことがない。風景写真と同じように、それらが街頭をにぎわしていた時代が想像されてくる。 出版社:国書刊行会書名:日本ホーロー看板広告大図鑑著者:佐溝力・平松弘孝【編】定価:5040円(税込み)
作者: yomiuri_sanbu
更新日:2008年8月25日 8時11分
『中国低層訪談録』(リャオ イウ)
良くも悪くも、様々な形で注目を集め続ける「中国」という国の、報道されない最下層の人々の暮らしをまとめた、一冊。 天安門事件後、出獄し、著者自身が「低層」の一部として、様々な人々を訪ね歩き、インタビューしたことを記録し続けてきました。発禁処分をうけても、インターネットなどで発表し続け、英語訳なども発売。今回、ついに日本語訳発売になったといういきさつ。 読んでみると、目をそむけたくなるような、毎日どうやって生きているのかと疑問に思うような状況ばかりである。しかしながら、著者は、「低層」の人々の状況を描くことで、中国の近現代史の様々な局面を浮き彫りにする。 この「低層」の人々は、決して例外的な少数派ではない。十四億人近い人口の中国では、経済成長とは無縁な人々が十億人もいるのだから、むしろ「低層」こそ多数派で一般的ともとらえられる。 国には、歴史がある。しかし、記録されない歴史の中に生き、下から社会を支え続ける人々の姿にこそ、時代の真実はあるのではないだろうか。 (リブロ別府店 祐保博美) 出版社:発行・集広舎、発売・中国書店書名:中国低層訪談録著者:リャオ イウ定価:4,830円(税込み)
作者: yomiuri_sanbu
更新日:2008年8月22日 7時31分