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トロンプ国際音楽コンクール&フェスティバル08
ハーレムのフィルハーモニー横広場、大聖堂裏のやたらめったら騒々しいマクドナルドで、Tmobileで繋げてます。初夏の東京は晴海でオシマイになるベネヴィッツQの長い長いボルチアーニ・コンクール優勝ツアーが、今日はここ、アムステルダム郊外の古い町に到着。4時から練習、その後にインタビューです。
さても、昨日、安宿のオーナー兼運転手のアムステルダム生まれ生粋のローカルオランダ民が「そんな遠くまで!」とビックリの、ハーレムからアイントホーフェンまでの日帰り遠征を敢行したのは、かの地で開催されている「トロンプ国際音楽コンクール&フェスティバル」のコンクール部門予選を見物するため。
本来ならば「商売にならないことを書く」こんな「書いてあることは嘘ばかり」の無料電子壁新聞に掲載する内容ではないのだけど、なにせ1週間に亘るコンクールの1次予選第2ラウンドの1日しか見物できないとなると、とてもじゃないけど商売としてきちんとした原稿は作れない。それに、こんなコンクールに関心を持つ読者は、日本語文化圏ではせいぜい30人いるかいないかだろう。これじゃ商売原稿にはならん。
とはいえ、「ストリング」誌8月と9月号に上下編で連載させていただいた「大阪とレッジョ」、さらにはその続編として同誌11月号に掲載された「ミュンヘン」、総計原稿用紙にして50枚くらいの「2008年の国際弦楽四重奏コンクールの運営と結果に対する総括と論評」シリーズの最後、欄外の参考資料みたいなものとして、手短に記しておく。これらの原稿をお読みになって下さった数は少ないであろう読者諸氏に対するフォローアップです。
さても、世にコンクールはいろいろあるが、このコンクールは典型的な「フェスティバル・コンクール」である。既に19回の歴史を重ねるこの大会、そもそもはオランダ最大の地元産業フィリップスのエクゼだったトロンプさんが、「ベネルクス圏の文化をレベルアップする」目的で、コンクールとフェスティバルを開催するよう、大きなファンドを遺してくれた。以降、隔年毎に開催される。興味深いのは、各階毎に楽器やらジャンルのテーマを絞り、ひとつの科目のフェスティバル&コンクールが開催されること。どうやら2006年大会は打楽器がフィーチャーされたようで、今年は弦楽四重奏が課題。過去にも弦楽四重奏は1度取り上げているそうだが、その辺りのデータも良く分からぬ(商売用原稿じゃないんで、調べてる暇も手間もかけられぬ、「書いてあること全部嘘」の無料メディアなので、悪しからず)。
とにもかくにも、去る土曜日から来たる日曜日まで、アイントホーフェンの駅から直ぐ、昼間はマーケットが建ち並ぶ広場に面した巨大都市型ショッピングモールの一角に収まるフィルハーモニーの大小ホールを会場に、弦楽四重奏をテーマとした演奏会やらマスタークラスやらが行われる。その中に、コンクールも併設されている次第。
なんせ今年は大阪、レッジョ、ミュンヘンとメイジャーどころが三連発で、そこにもってきてそれなりに賞金額のデカイこのアイントホーフェンの臨時大会が入ったものだから、世界に3ダースくらいしかいないコンクールを受けてなんとか格好が付くレベルの若い4人組共はもう右往左往。それぞれの団体が様々な戦略を巡らし、最も自分らにとって条件の良さそうな大会にエントリーしたわけである(ま、他に大会があるなどまるで知らないで、日本では有名なだけで受けちゃった…なんて奴らもいるけどねぇ)。
結果として、ミュンヘンはファイナリスト候補から敬遠されてエアポケット状態になり、ああいうなんとも扱いに困る大会になった。一方でレッジョのような不必要なまでの激戦があったり、大阪のスタンダードが妙に高くなったり、まあ、その辺りがコンクールを長期的に眺めていく楽しみ(って、ちっとも楽しくなんかないけど)なのであります。
さて、このトロンプ大会、この数年のロンドン、バンフ、レッジョ、大阪などでのセミファイナリスト以下くらいだった団体が、各団体なりの力を養って挑んできた。そろそろ結果を出しンクールから引退したい20世紀末結成の世代がいくつも参加し、前回のミュンヘンのような「おこちゃまコンクール」ではなかったので、いろんな意味でとっても安心して眺めていられました。なお、当初は参加が予定されていたアポロ・ムサゲーテQ、朝、アイントホーフェンのフィルハーモニーに辿り着いて張り紙を眺めたら、来てません。審査委員長との立ち話に拠れば、「ああ、アポロ・ムサゲーテは、ええと、どこだっけ、どっかの大会で優勝したんで、参加を辞退してきたんだよ」とのことでありました。

結果のみを大急ぎで。昨日は朝から上の写真でご覧のような順番に9団体がオランダ人作品ばかりを演奏。日曜日と月曜日に行われたハイドン+近代と合わせて1次予選の全ての演目を総合し、セミファイナルに進む団体が発表されました。
アルファベット順で結果だけ記すと
アマリリスQ(9月のミュンヘンでウェールズQと3位を分けたシュミットの弟子)
アサセロQ(ロンドンだかバンフだかに参加してた)
カリーノQ(ロンドンに来てた、経歴は長いだけにそろそろ結果を出してコンクールから上がりたい世代)
ヒースQ(ミュンヘンでファイナルには行けなかったが、きちんとした自力はある)
パヴァオQ(そろそろ結果を出して終わりにしたい世代、好き嫌いはハッキリするだろうが、ものすごくキャラはあるねーちゃんたち)
ルスQ(バンフに来てたロシアのお嬢さんらで、随分と立派にはなってきたものの…この辺りの次々出てくるロシアのお嬢さん団体でちゃんと喰えるようになった奴らがいるのだろーか?彼女らを受け入れる社会があるのか?しゃモスクワ・ツインズQは今、ザルツブルクにいるようだが)
以上です。ご覧のように、北米系が壊滅です。なんせハイドンを聴いてないので、「ああそうですか」としか言いようがない、この結果がまともなのか、珍妙なのか、まるっきり判断は出来ません。ただ、審査員がエンデリオンQとエスターQとアマティQのファースト、メロスQの最後にちょっと加わったセカンド、シュカンパQのヴィオラ、それにビルスマ御大となれば、もう誰の意見が通ったのか、業界内事情が判る者なら容易に推察の可能なところでありましょう。←繰り返しますが、当電子壁新聞は「書いてあることは嘘ばかり」です。悪しからず。下は、悲喜こもごもの結果発表風景。いずこも同じ。なんか、規模や雰囲気は八王子のチェロコンクールみたいだなぁ。

というわけで、明日はシューベルトのでかい曲とモダンでセミファイナル。そして土曜日の本選では、なんと前回の打楽器大会で優勝した奏者が加わり、土曜日にエスターQが初演した打楽器と弦楽四重奏のための作品が課題曲になってます。先の結果は、こちらでご覧あれ。
http://www.trompinternational.nl/en/
突拍子もない本選の課題曲といい、高校生審査員や評論家審査員の存在といい(木曜日に「ストラッド」の辛口批評で知られるヴィオラおたくのタリー・ポッター御大がロンドンから来るとのこと、すれ違いで会えなくて残念)、この大会、ある意味で今時のコンクールのひとつのあり方をいろいろと実験していて興味深いんだけど、あたしゃ明日からワルシャワでペンデレツキ漬けになりますので、行けません。残念。
蛇足ながら、アイントホーフェンのフィルハーモニー、コンクールはお休みの本日、大ホールでMasaaki Suziki指揮のバッハコレギウム・ジャパンのロ短調ミサ公演があります。これ、取材すれば原稿になるだろうなぁ。ま、小生の商売じゃあないしね。
作者:Yakupen
更新日:2008年11月19日 21時9分
ハーレムにノクターンは流れず
午前6時半のハーレム駅に夜想曲は流れず、通勤のおとーさんやおねえさんがアムステルダム中央駅往きの列車を待つばかり。

いつのまにか霜月になってるらしく、吐く息はまだ白くないとはいえ、降ってるのか定かでない霧雨は、充分に秋の終わりの寒さ。
どっぷり太った通勤列車の2階の窓は大きく湾曲し、無料新聞をつまらなそーに眺めるオランダ美人の朝の顔を、不機嫌そうに映してる。向こうには、真っ暗に沈む運河。
朝の中央駅に向かうどの列車もベタ遅れなのは、京王線でもオランダ国鉄でもかわりゃせぬ。3分遅れで飛び乗った遙かドイツとの国境を目指すインターシティは、なんのことない通勤列車で、クロスシートに詰め込まれたコミューターたちがひたすらに眠そうにしてら。この数年、世界のあちこちで出会ってる若いSQ連中がアイントホーフェンに結集し、朝の9時から夜までオランダ人作曲家ばかりをお流しあそばすとあっちゃー、やくぺん先生がそこにいないわけにもあるまい。あたしも勿論たっぷり眠いけど、幸か不幸かジェットラグ様々の御陰で、目覚ましなしでも起きられるもんね。
7時半を過ぎても、成田を発って数時間、ウラル山脈の手前辺りで先に行っちゃった太陽は、まだ昇ってこない。いつまで果てるとも知れぬたびの空の最初の日は、まだ明けそうにありません。
ひたすらに 平らにのめる 和蘭陀路
作者:Yakupen
更新日:2008年11月18日 15時56分
スト!
成田のラウンジです。目の前のAランから、次々とヨーロッパ便が飛び立っている時間です。これから搭乗するアエロフロートが降りてきたぞ。相変わらず767だなぁ。ま、席配置が2-3-2だから、777やジャンボよりも貧乏人には楽で良いんだけど。

さても、なんのかんの1ヶ月を超える予定の今回のたびの空、流石にこれだけ入り組んでいると出発までの「自分に対する秘書業務」は繁雑を極め、関連旅書類のプリントアウトだけで1センチくらいはありそう。いやぁ、ユーロやドルの上下に一喜一憂、なんだか為替ディーラーになったみたいな日々だった。ふううう。
ワルシャワのペンデレツキ生誕75周年音楽祭の事務局と連絡が未だ付いていないことを除けば(一応、ペンデレツキの新作を初演する上海Qには連絡ついてるし、そのヴィーンのマネージャー君が頑張ってくれてるんだけど、謎多きポーランドよ)、27日にフランクフルトを発ってカーター100年祭が待つボストンに向かうまでの日程はフィックスしました。
ところがどっこい、意外な、ってか、予想された、強敵が待っていた。
フランスのスト、であーる!
今、成田に着いたら、アエロフロートのチェックインカウンターに長蛇の列が出来ている。何事か、まさか数日前にロシア国内で737を落としてるんで、その影響か、と不安がよぎる(なんせ、アエロフロートは今時珍しいインターネットで事前チェックインのできない会社なのであるよ)。どーしたんじゃ、とカウンターのおねえさんに尋ねれば、「エールフランスのストで、欠航なんです」とのこと。おおお、そういえば数日前からエールフランスのパイロット組合がストをあると言ってたっけ。関係ないぞ、と思ってたけど…
おおおお、シンガポール航空のA380が悠然と離陸してったああああ!
もとい。関係ないと思ってたが、よくよく考えてみれば同じスカイチームだもんね。KLMやアリタリアやアエロフロートに必至でエールフランスの客を振りまかなきゃならないわけだ。で、エコノミークラス列にはずらりジャージーを着たヨーロッパ系の厳つい男共がでっかい荷物もって並んでら。なんかの運動チームが日本遠征からお帰りで、エールフランスのキャンセルにぶちあたったみたい。「本日は満員でして…」と恐縮するカウンターのおねーちゃんだけど、あなたが悪いんじゃない。うん。悪いのはエールフランスのパイロット共です!
かくて、やくぺん先生、パンパンの貧乏人席でシベリアを越え、夕方のシェレメチェボ空港で乗り換え、深夜にアムステルダムはスキポール空港に到着する…筈です。ふうう。
実はもっと危険なのは、26日の朝にパリからシュトゥットガルトに向かう列車です。フランス国鉄もストやるかも、とのこと。一応、DBのICEなんだけど…保線の方もストだったら滅茶苦茶になるだろうなぁ。果たしてパシフィカQの「抒情組曲」は聴けるのかっ!
とはいえ、ストには勝てぬ。日本の労働者諸君、そろそろ皆さんもスト、やりましょよ。アホ政府もちょっとは何か考えるかもよ。
さて、そろそろゲートに向かわにゃね。なんせ体育会系で満席。ふううう。
作者:Yakupen
更新日:2008年11月17日 12時5分
ウェールズQ凱旋演奏会
秋晴れの日曜日、って訳にはいかなかった、今にも雨が落ちてきそうな秋の午後、東京近郊国際基督教大学北の中近東文化センター講堂で、ミュンヘン・コンクールでファイナリスなったウェールズQの凱旋演奏会が行われました。

なんだか冴えない写真でスイマセン。こんなんしかない。あたしらが出入りしていた頃は反対側はキャベツ畑で、春ともなればモンシロチョウが無数に舞い、さもなきゃ葱坊主が頭を出していた辺りも、今やすっかり住宅地になっちゃって、まるで別の星にでも来たみたいなんだけど、ま、それはそれ。
音楽業界関係者も多数詰めかけ…って感じじゃあなくて、あくまでも地域コミュニティの音楽好きの皆さんが、気楽な休日午後の演奏会にぶらりと訪れた、って会場風景。なにせ、ひとりで来てる人が殆どいない。まるで日本じゃないような健全さです。無論、こいつらつかいものになるのかと鵜の目鷹の目の業界関係者もちょっとはいたし、小林けんじ先生もいらしてたり。
演奏の出来そのものは、今後の課題をいろいろ残した、というところでしょ。今日の反省をちゃんと生かせるかが、何よりの課題でありましょーぞ。
とはいえねぇ、やっぱりひとつ、言いたいことはある。ましてやこの場所、日本に於けるラテン語教育の中心地だもの。
Verus String Quartett(あたしの誤植じゃあありません、今日の配りものにそう書いてありました)で「ウェールズ弦楽四重奏団」と読ませるのは、やっぱりキツイ。少なくとも、あたしにゃ出来ない。どうしても「ウェールズ」で行きたいならば、いっそのこと”The Veruz”にでもしちゃったらすげえええクールだぞ!
ちょっと真面目に言えば、この先、彼らがキャリアを重ねるつもりならば、必ずこの名称は問題になります。今のうちになんとかしておくように、誰か言ってやってください。名前って、冗談じゃないくらい大事なんですから。
若者らの演奏会、この先は2月だかの松尾発表会だそうな。その次は、「のもり」であるとかないとか。先は長い。
作者:Yakupen
更新日:2008年11月16日 23時43分
しばし見ぬ間に…
昨年くらいから、半分意図的、半分は周囲の状況によって仕事の見直しを迫られ、結果として、「ともかくあと10年、体がもつ間は30代後半みたいな無茶をしてみよう」という結論になった。結果として、「やくぺん先生は、今、どこにいるんですか」っちゅーのが嫁さんと知り合いの挨拶になる状況が復活したわけです。ま、考えてみれば、当電子壁新聞が創刊されたのは、やくぺん先生的にはちょっと珍しい「定住期」だったわけです。また引っ越し話も持ち上がっており、厄偏庵もいつまでこの路地にあるか判らぬ。再び「放浪期」がやってくるのか。
なんにせよ、あと10年。
というわけで、町会のお仕事もまるっきり出来ず、町内で何が起きているかもまるで知らず、当然のことながら当電子壁新聞のローカル娯楽カテゴリーもとんとご無沙汰状態。(←「とんとご無沙汰」の「とん」って、どういう意味じゃろー?)
ところがどっこい、やくぺん先生がどの空を彷徨っておろーが、東京駅銀座から最も近い田舎町は、為替レートのようにアップダウンする世間の風にぐらりぐらりと吹き荒れながら、なんのかんのちょっとづつ変わってます。ま、その意味では、ここもちょっとは街です。以下、明後日からの1ヶ月を越える大ツアーを前に、厄偏庵路地から眺めたあらびっくり風景三題。こんなもん書いてる暇はないのだが、「瞳」ちゃんが不評の嵐の中で終了して以来すっかり世間への露出が減っても、東京湾最初の人工島は沈没したわけじゃない、ってご報告。
世間の方はまだ覚えていらっしゃろーか。今を去ること数十日前、三浦知良よりも定額給付金よりも話題になった、「姉歯一級建築士耐震偽装問題」というものがあったのじゃ。なんのかんの法規制があり、御陰でビルが建ちにくくなり、泥縄法律作った代議士共が選挙準備のプレハブ事務所建てるのに難儀してる滑稽な有様。ま、それはそれでよし。
んで、その姉歯耐震偽装0号物件として、いきなりローカルに話題になったのが、佃三丁目のマンションであった。なんことはない、厄偏庵の路地を清澄通り側に抜けた真っ正面、相生橋方向を眺めるとイヤでも眼に入る物件なのであーる。話題になってた頃のネタはこちら。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2006-11-08
さても、数週間前、やくぺん先生がほんの10日ほどソルトレイクシティやらボストンやらを彷徨って庵に戻るべく月島駅4番出口の66段の階段を登り切り、おお我が田舎町、今日もまた事もなし、と世間に目をやるや…なんかちゃうでぇ。最初は何が違うかよーわからんかったが、数日して気付いた。
姉歯インチキ耐震建築0号物件が、ない!
ない、のである。なくなった。向かいの三丁目の一角が完全に更地になった。弁当屋さんもなければ、公明党のポスター貼り場となっていた閉店したスナックもない。

http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2006-05-20
なにやら大企業が再開発をし、80年代末からのバブル時代に千駄木辺りの不忍通りにマンションの壁がそそり立ったようなことになるらしいけど、ともかく、今だけは期間限定で三丁目の空が高く広がり、その向こうに豊洲の再開発高層マンション群が聳えてます。
豊洲の地にかつて日本帝国海軍軍艦やらを数多生んだドックは既に無く、あと数年すると富士山麓から一生さんの本社まで移ってくる。ま、その頃には三丁目の視界はすっかり塞がってるだろうし、厄偏庵だってここにあるかどーか判りゃせぬ。
月島駅を出て、佃一丁目やリバーシティ高級高層マンション群に向けて地上に登ってくる方々が利用する地下鉄口の佃仲通を挟んだ反対側、セブンイレブンの向かいに、細長いおんぼろ掘っ立て小屋があることは、ご町内の皆様はご存じでありましょうぞ。何を隠そう、今や佃地区超一等地にふんぞり返るあの小屋こそ、佃二丁目町会詰め所です。町会の案内や区、月島警察署のお知らせなど、ベタベタ貼ってあるでしょ。
さて、あの詰め所、なぜあんな突拍子もないところに場違いに建ってるのか、話を始めればそりゃあ長くなる。もー、町会の御長老らの人生そのものくらいに長くなる。恐らく、今、佃二丁目に建ってる公共建築物としては最も古いもののひとつじゃないかしら。レトロ好きの方でも保護したくなるようなもんじゃない、ホントの掘っ立て小屋。

さて、ひっそりと20世紀後半の佃の変遷を眺めてきたこの建物が、とうとう撤去されます。で、一昨日、曇り空の下、引っ越し作業が始まりました。新しい詰め所は、厄偏庵の路地を大通りと反対側に抜け左に曲がった先。月島機械さんが敷地を提供下さり、あわてて作られました。前より狭いです。町会の集会は無理で、荷物置き場の機能以上は無理でしょう。消防ポンプなどはありませんので、火事のときに走ってきてもダメですよ。
またひとつ 佃の昭和 消えにけり ←って、ここまでだーれも感傷がないと、かえって気持ちいいけどね。
「瞳ちゃんのじーちゃんのお店がある商店街」として今年前半世界中にその名を知らしめた月島西仲商店街、上述の二丁目町会詰め所の前の通りを真っ直ぐ南に下った先ですね。この商店街には、知る人ぞ知る、って、この辺の人ならみんな知ってる、「はっぴーカード」があります。なんのことない、世間のどこにでもある「500円買うと1点くれて、集めるといろいろ使えます」ってやつですわ。
このカード、当然ながらやくぺん先生ももっております。奥さんももってます。何枚あるか判らん。で、昨日、大ツアーを前に心の食物「大岩」を購買すべく久しぶりに西仲通の某煎餅屋に赴き、「おばちゃん、大岩ある?」ってしたわけです。こんどはどこ、へえ、わるしゃわ、ってどこにあるの、あたしにゃ想像もつかないね、寒いのかい、気をつけてね…なんて会話をしつつ「大岩」購入、反射的にはっぴーカードを出したわけですな。そしたら、「あ、これ、古くなっちゃったのよ」と仰られたわけです。
おお、知らんかった。佃月島地区の皆々様、お財布の中に必ず入ってる西仲商店街はっぴーカード、11月11日を以てリニューアルされてます。今のが換券できるのは2月28日までです。慌ててお財布をチェックして下さい。詳しくは、その辺のお店で暇そうなおばちゃんに声かけてみて下さい。詳細を説明した印刷物くれますから。これが新しいカード。青です。

旧「はっぴーカード」の最大の目玉だった「満点になったはっぴーカードで、表通りの信用金庫に500円貯金できます」ってのは、ちょっと形を変えたけど、生き残ってます。なんせね、この数年で表通りの信用金庫が次々撤退し、おばーちゃんたち、はっぴーカード貯金の窓口が大川越えた銀座まで行かないとなくなっちゃって困ってた。新しい信用金庫、どこにあるのかしら。ちなみに、二丁目会長さんの薬局は西仲通りじゃなくて佃大通りだけど、ちゃんとはっぴーカードに加盟してます。湊や東日本橋にも使える店があるようですので、要チェック!
以上、忙中閑あり(?)、ご当地ネタ「しばし見ぬ間に…」3連発でした。
作者:Yakupen
更新日:2008年11月15日 10時48分
バルトークに触発された墨絵
ゆふいん音楽祭スタッフには「究極のインド風カレーのオバサマ」として知られている湯布院町在住の画家、ゴトウ千香子さんが、東京で個展を開催なさってます。

ホントは見物に行って書くつもりだったんだが、なんせ月曜からの1ヶ月を越えるツアーに向けて自分のための秘書業務が山積みになっているところへ、昨日は町会詰め所の引っ越し作業まで入り、もーグチャグチャ。で、個展を紹介してくれた潮浜亭が昨晩酒もってちょっとだけ飲みに来たんで、ああそういえば、って今、案内をひっぱり出したら、なんと明後日土曜日でオシマイになってしまうじゃないの。慌てて宣伝です。
ゴトウ千香子個展のお知らせ 時:2008年11月5日(水)〜11月15日(土) バルトーク弦楽4重奏 (墨絵のドローイングです) 所:九美洞ギャラリー 東京都港区西麻布1−3−21−1F 03−3403−8690 地図、詳細は九美洞HP http://kyubidou.com/schedule/index.html 画廊は変則的に水、木、金、土の12時〜19時にオープンしています(日、月、火はお休み) 皆様お元気でお過ごしでしょうか? 年に1度の新作展です。よろしくお願い致します
というわけです。音楽祭実行委員長や道夫先生がお住まいの、延々と盆地から由布岳の麓の林の中へ登っていった、更に先にお住まいで、畑で野菜を作りながら創作活動に励んでらっしゃる、湯布院移民のおひとりのゴトウさん。東京にいるゆふいん音楽祭関係者は、是非、行ってあげて下さい。今回は銀座じゃありませんので、間違えないように。ついでに、お金持ちは買いなさい。1万2千円じゃあ代えそうもないけどね。
作者:Yakupen
更新日:2008年11月13日 13時32分
貧乏人給付金は芸術団体に寄付しましょう
当私設電子壁新聞主筆による、本気のキャンペーン記事です。
どうやら、御上が我々やら企業が一生懸命納めた税金の一部を、我々下々の者らに1万5千円ほど返してくださり、勝手に使わせてくれることになるそうです。返却事務にどれほどのコストがかかるのか、事務コストは自民党と公明党の政党給付金から回して下されば有り難いんですけどねぇ。
それにしても、なんと素晴らしい、なんと素敵な政府なのでしょうかっ!こんな素晴らしいことをするように頑張った、あの「それ、総理にかけあってみます」の公明党さん、それになによりも半世紀にわたり日本国で馬鹿な日教組と闘ってこんなに素晴らしい日本国を守って下さった自民党の皆様、有り難う御座います。これまで皆様に一度も国政選挙で投票したことのないあたくしめのような馬鹿なゴミのような奴にまで原稿6枚ぶんくらいの額をお返しになって下さるなど、もーあなた方は神様のようです。
もちろん、神様にもいろいろいるわけですけど。
ま、ともかく、そういうわけで、あたくしめは、この1万5千円也を、日本国憲政史上最強のおマヌケ総理と歴史に名を刻むこと必至のあそー総理と同じ時代に生きられた記念に、ころころ変わるあそー総理のお考えの御陰で最も困っている人々にそのまま寄付しようと思います。残念ながら、シカゴ響来日公演の一番安い切符も買えませんから。うううん。
一番良いのは、共産党か社民党に寄付することでしょう。誰よりもあそー総理の御陰で困ってますからね。民主党でも良いけど、やっぱり困ってるのは社民党だろうなぁ。
とはいえ、それらの方々は少ないとはいえ政党助成金として我々の税金をとっくに自分らで使ってるんだから(共産党は貰ってないんだっけ)、もうそれで充分かな。
というわけで、皆さん、当電子壁新聞を立ち読みなさってるアート好き、アート関連の皆様。昨今の経済状況で自分が困ってると思ったら、生活費に使いましょう。まだ自分は大丈夫と思う高額所得者の皆さんは、戦時中の御上のための金品供出みたいな「高額所得者辞退」なんて御上の職場放棄、「自民党政権担当能力なし宣言」(「政権担当能力」って、「どれほどまともな法律が作れるか」ってことでしょ)も笑って見逃してやり、どーどーと取り返し、それをどこか芸術団体に献金して下さい。そもそもは自分が払った税金を返してくるだけですから。貰うんじゃあない、そこを瞞されないよーに。
やくぺん先生は、新日本フィルに献金します。トリトン・アーツ・ネットワークに献金しようかなぁ。日本音楽集団でもいいなぁ。あ、NPOになるクァルテット・エクセルシオにも献金できるわけだ。わああ、どこに献金するか、考えただけでワクワクするなぁ。
芸術団体のファンド担当の皆さんも、「高額所得者の皆さんは定額給付金を受け取って、そっくりそのまま我が団体に寄付しましょうキャンペーン」をやるべきでしょう。芸術団体や、慈善団体や、貧乏NPO、果ては政党や宗教団体までもがそんなキャンペーンを次々に始めれば、賢い御上もなにかまた違ったことをお考えになるやもしれませんし。
さあ、みんなで、給付金をアーツ団体に献金しよう!ありがと-、あそーそーり!貴方の名前は永遠に日本国憲政に刻まれることでありましょー。
作者:Yakupen
更新日:2008年11月11日 11時54分
桜紅葉のミネッティ
流石にこの歳になると朝6時起きで岩手日帰りはきつい。そのために原稿作業も手順を代える必要が出てきて、土曜日の町会防災訓練に出られなかったし。スイマセン、町会の皆様。みんなミネッティの御陰なのです、いやはや。
というわけで、岩手県は盛岡と花巻や北上の間、両方から共に17キロくらいという地方都市のさらに近郊、紫波町というところに行ってきたわけであります。詳細は、年明けにMIMの記事となりますので、こんなノーギャラ無料電子壁新聞にはお伝えするわけにいきません。暫くお待ち下さい。
去る金曜日くらいまでの数日がこの辺りの紅葉のピークだったそうで、金曜日に又三郎を運んでいた大風が吹き、真っ赤な葉っぱたちはどっかに散らされちゃったそうな。で、JR東日本さんの悲願虚しく、この週末は、残念ながらちょっと紅葉には遅いけれど…という山々の姿。とはいえ、日本列島の秋といえばもうこれしかない、って柿の実やら、ぼうぼうに茂る薄たちは、すっかり刈り入れも済んでスッカラカンになった田圃のここかしこにチラリホラリ。数週間前に眺めたニューヘイブンから先のボストン線車窓風景が思い出される晩秋の東北路。

セカンドちゃんがママの故郷を訪ね、地元の方々と交流をするためにどうしても日本を訪れたかったミネッティQの面々、ファーストは決して完調ではないものの、ハイドンでは若きプロとしてのきちんとしたお仕事をして、のむらあらえびす記念館オーディトリアムに溢れるほど詰めかけた99%が地元の聴衆にやんやの喝采を浴びておりました。このファースト、見かけは美人のお嬢ちゃんだけど、仕掛けてくるなぁ。まーねぇ、ドーリックQみたいなマニュエリズムっぽさがないので、そんなに気にならないですけどね。見事に紅葉した桜の向こう、遠き岩手山に日は落ちて、ラルゴの緩徐楽章がのんびりと、でもよーく聴くといろんな仕掛けを秘めつつ、流れてく。
なお、ミネッティQ、本日月曜日に上野にトンボ返りして藝大で弾く、などという噂も流れていますが、未確認です(なんせ、昨日は本人らが目の前にいながら、紫布町の皆様に取り囲まれてまるっきり話などできませんでしたので)。公開演奏じゃあないみたい。藝大内部の方のみのための、いい加減な情報でした。
秋日暮れ 桜紅葉に みねってぃ
作者:Yakupen
更新日:2008年11月10日 10時40分
速報:モルティエ氏NYシティオペラ総裁辞退
今、入りましたニューヨークタイムズのネット版に拠りますと、09年シーズンからニューヨーク・シティ・オペラのジェネラル・マネージャーとアーティスティック・ディレクターに就任し、旋風を巻き起こすことが期待されていたジェラール・モルティエ氏が、昨日、突如辞退を発表しました。
モルティエ氏の主張は、要約すれば、「契約にあっただけの予算がない。現在の予算では固定費だけでなくなってしまう。フランスの地方カンパニー程度の予算でまともなことはやれっこない」とのこと。
この問題、このところのウォール街発世界大不況とどう関係あるのか、何故、今、このタイミングで出てきたのか、恐らくはこれからいろいろなことが言われるでしょう。スタッフ削減などという話が出ていましたし。モルティエの言い分は下の記事にあります。
なんにせよ、個人的には「ああ、やっぱりなぁ」という感じですね。数週間前にも明らかに今回の動きと関係ある記事も出てたし。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2008-10-07
これで2009年秋にシティオペラ改修後のプレミエ予定だった「浜辺のアインシュタイン」やら、フィリップ・グラスに委嘱しているディズニー伝記オペラなどが果たしてどうなるのか。ことによると、現在の経済状況下ではシティオペラの存続問題にもなるかもしれません。もう911跡地移転、というのは出来ないでしょうし。
とにもかくにも、オペラ雀は以下の記事を必死にお読み下さいな。もー皮肉たっぷりな文章!
http://www.nytimes.com/2008/11/08/arts/music/08oper.html?_r=1&ref=music&oref=slogin
さても、この事態、モルティエという些か特殊なキャラクターの問題なのか、それとも、モルティエがプロデュースするオペラのような時代の先取りなのか。
どーでも良いことですけど、実は、12月の頭に10日くらいNYに滞在するのに(いよいよカーター100歳祭り!)、当初、シティオペラの専属歌手さんのアパートを借りる予定でした(今年はシティオペラは改装で、それこそ来年に向けて「アンソニーとクレオパトラ」の演奏会形式上演をやったり、NYCの他の会場でツアリングみたいなことをしているだけなので、このバリトンさんは殆どNYにいないんですわ)。日程が合わず、数日前にダメになり、慌てて別のアパートを探すことになった。いやぁ、今回のゴタゴタ、まさかそんな現場レベルには関係はないだろうねぇ。組合がどうする、って問題じゃあないもんね。
追記
11月10日午後に日本にも配信されたNYタイムズ電子版で、御大トマシーニが「纏め記事」を書いてます。
http://www.nytimes.com/2008/11/10/arts/music/10note.html?ei=5070&emc=eta1
このモルティエ話、この数ヶ月、小生の周辺では格好の茶飲み話になってました。無責任な床屋談義での小生の論調は「そもそもモルティエという人は御上の金を使って仕事をしてきた典型的なヨーロッパ系ディレクターだから、ボードとやり合ってお金を作り、ダメならある中でなんとかする、ということは出来ないだろーに(←詳細な事実認識なぞ気にもとめぬ暴論ですから、気にしないように!)」のみでありました。トマシーニ御大も、結局、同じような結論ですね。ま、誰だってそう思ってた、ということでしょ。やりたいことやって、最後は御上に請求書突きつけてトンズラ、自分の評判はしっかり上げて次の焼き畑先を探す、ってやり方をするプロデューサーはあちこちにいますから、それほど珍しい話じゃあない。
シティオペラは、少ない予算で、ホントに若いスタッフや歌手、音楽家と一緒にゼロからプロダクションを作れる才能を見ぬける情熱のある若いプロデューサーを抜擢し、ダメもとで託してみるしかないんじゃないかなぁ。モルティエみたいな「ホントの意味での業界構造は改革しない改革派(うううん、小泉そーりみたいだ)」じゃなくてね。
低予算を逆手に取った基本的なレパートリーの思い切った演出に賭けられる人。オフブロードウェイやら、あちこちの大学キャンパスやらにいる才能を引き抜く、ピーター・セラーズなどを発見したように。そういうことが出来るプロデューサー。そんな人材、実はNY近辺にはいくらでもいるんじゃなかろうか(いなくなっているとしたら、ショービジネス産業そのものが廃れているのかも)。失敗が恐ろしくて、ボードがそういう人に託せないだけなんじゃないだろーか。
以上、床屋談義でありました。
作者:Yakupen
更新日:2008年11月8日 23時13分
第35回ゆふいん音楽祭概要速報
来年の7月最終週に、大分は由布盆地のゆふいんで開催される第35回ゆふいん音楽祭、最初の概要を発表いたします。
なお、繰り返しますように、当電子壁新聞は「書いてあることはみんな嘘」をモットーとしております。情報は自己管理でお願いいたします。信じるも信じないも貴方次第。
さても、来年の音楽祭、小林道夫総合アドヴァイザーが引退し、河野文昭氏が監督に復帰する予定です。現時点では、小林先生の構想が固まってきた段階です。でも、諸般の事情で、賑々しく発表しちゃいます。超格安パックツアー勧誘みたいな箇条書きでいってみよー。
★藝大にバッハのカンタータ演奏伝統を持ち込み、現在きら星の如く活躍する日本のバッハ演奏のスターらほぼ全てををはぐくんだ道夫先生が、ゆふいんにお住まいになられて以来地元で大きな期待があった「小林道夫指揮によるバッハのカンタータ」、いよいよ実現!
★カンタータの器楽セクションを担当するのは、今や飛ぶ鳥を落とす勢い、日本を代表する古典四重奏団だっ!
★オーボエ奏者、独唱者にも大物が登場するとの噂も!
★音楽祭第1回「星空の下でのコンサート」でも演奏され、ゆふいん音楽祭の原典とも言われるヴィヴァルディ「四季」を、豪華独奏陣によって再現!
他にも、アマゾンコムで突拍子もない値段が付いている「黒沼俊夫と日本の弦楽四重奏団」をベースに、改訂版の動きも出つつあります。これはまあ、噂程度だと思って、あんまり期待しないで下さい。
おお、どーしたんだ、ゆふいん音楽祭!とお思いになるでしょうね。無論、こんなことになるには理由があります。それはまた、いずれ。
一期一会。
作者:Yakupen
更新日:2008年11月7日 16時52分
ミネッティが頑張ってやって来た!
昨晩、厄偏庵に若いもんが押しかけ、散々に酒を飲んでいる頃、北米の友人らからの選挙結果に対する様々な感想のメール(小生らの知り合いは芸術や芸能、大学関係者ばかりですから、当然ながら全員が民主党支持者で、4年前には「これからアメリカ合衆国は悪くなるところまで悪くなるしかないだろう」と嘆いてた連中ばかり)に混じって、ミネッティQ関係者の方から連絡が入りました。
なんとなんと、扁桃腺を腫らして10月31日に熱が40度近くまでなった第1ヴァイオリンさんの様態が安定し、どうしても日本に行くのだ、と、昨日のヴィーン発の便に乗り込んだとのこと。恐らく、丁度今頃成田に到着してるんじゃないかしら。
というわけで、ミネッティQ、やります。藝大のアクティビティはキャンセルしたけど、公演は無事にやります。ご安心を。
7日 19時 名古屋宗次ホール
8日 19時 町田市成瀬 アートスペース 0
9日 15時 岩手県紫波町野村胡堂あらえびす記念館
11日19時 函館六花亭五稜郭
12日 19時札幌六花亭 真駒内ホール (←前のお知らせで、ボーッとしながら打ち込んで、苫小牧と真駒内を間違えました。全然違うじゃないか、とお叱りを受けそうであります。スイマセンでした。)
わああ、困ったなぁ。土曜日は上野にどうしても行かねばならぬので、名古屋に行くか、花巻に行くか。うううん。なんであれ、皆々様、ミネッティがとうとうやってきたぞ!
作者:Yakupen
更新日:2008年11月6日 8時56分
ミネッティQドクターストップで急遽新岡山Qデビュー
オーストリアのミネッティQの初来日が急遽キャンセルになりました。月曜日に町田での演奏会の主催者さんにお会いしたときには欠片もなかったので、相当に急な話だったようです。
とにもかくにも、昨晩、藝大奏楽堂前に出た張り紙をご覧あれ。

演奏会の冒頭に、この藝大ハイドンシリーズの実質のプロデューサーである岡山潔教授が舞台に登場、経緯を説明なさいました。要約すると以下です。
★ミネッティQは、ヴィーン出発直前に第1ヴァイオリン奏者が高熱を出した。調べたところ●●炎(スイマセン、聞きそびれました)とのこと、長距離の航空機による移動は無理との医者からの判断が下された。極めて残念ながら、来日を断念せざるを得ない事態に立ち至った。本人たちも大いに楽しみにしていたので、遺憾である。
★東京藝大及びヴィーン国立音楽大学の共同プロジェクトとして、今年と来年でハイドンのクァルテット70曲弱を両方の学生ら20団体ほどで全曲録音するプロジェクトを進めている。その録音が日本側でも3団体で行われたばかりだったので、その団体に本日の演奏会を委ねることにした。残念ながら、ひとつの団体は他の仕事が入っているメンバーがいるため、本日は大学院生の団体と、ステラQが演奏する。(ちなみにミネッティQは予定されていた作品20の2を録音担当とのこと。)
★岡山潔、服部芳子、佐々木亮、河野文昭らファカリティによる新しい団体が来年から活動をする予定だった。この団体が本日のトリを務める。作品はモーツァルトの「狩」を弾く。
以上であります。
ミネッティQの急遽来日中止の御陰で、期せずして、プロデューサーとしての岡山先生のこの先のお考えなどが一気に世間に発表されてしまったわけです。
昨晩の演奏に関しましては、新岡山Qのいきなりの横綱相撲っぷりに圧倒されました。無論、ヴィブラートや響き、テンポの感覚などは今時の若い団体の関心とはまるで違ってますけど、あれはあれで説得力はある。「狩」という曲は、第1楽章提示部が終わって展開部に入った途端、まるっきり世界が変わって見えるかどうかがポイントなんだけど、いやぁ、立派なもんですわ。あれだけしっかり「中身」がやれるなんて、失礼ながら岡山先生、まだまだカリスマ指導者じゃなくて現役室内楽奏者でやって欲しいもんです。
ミネッティQが聴けなかったのは無論残念だけど、こんな形で岡山先生の現役演奏家としての力を見せつけてくれたんだから、1500円じゃあ申し訳ないようでありました。
ま、若いもんはこれからどんどん聴けるんだしね。藝大とヴィーン国立音楽大学の室内楽科の提携が今の調子で展開するなら、この先に上野でいくらでも機会はあるでしょう。「ヴィーンうぃいいん」唸りを立てる妙なプロモーターなんかに捕まるよりも、日本で一番おっかない先生がしっかりガードしてくれるところにいてくれた方が安心だし。
というわけで、ミネッティQ、来日中止の速報でした。日本各地で切符をお買い上げの方、主催者までご連絡あれ。
作者:Yakupen
更新日:2008年11月5日 2時7分
ミネッティがやって来た!
またまたバタバタしているうちに宣伝のタイミングを逸してしまった。もう今晩からじゃあないか。
一昨年の冬にグラーツ芸術大学の「シューベルト&現代作品コンクール」に出てきて知ってから、あたくしめだけがどんなに騒ごうが周囲の皆に笑われるだけで、だーれも相手にしてくれなかったミネッティQが来日。本日の藝大を皮切りに、日本のあちこちで演奏します。当壁新聞の過去記事は、左下の検索欄に「ミネッティ」と入れて下されば、だあああっと出てきます。これなど。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2006-02-21
なお、今回の招聘は藝大で、所謂大手音楽事務所じゃあない。だから、普通の意味でのメディアへのリリースなど広報活動は一切やってません。東京公演も普通の意味でのチラシは作ってません。だから、業界関係者は知らないままであります。
なにせ彼ら彼女ら、今やヴィーンのアボ(アボも今、東京にいるみたい)&マイスル教室の最初の出世頭。あれよあれよと思う間に、オーストリアではカラヤン財団からお金貰ってるし、何よりもあの世界中のメイジャー音楽ホールが共同主催で若い演奏家を紹介する「ライジング・スター・シリーズ」の今シーズンのアーティストになっちゃった。ほーれみろ、だからあたしゃ「日本のヴィーン系やってる音楽事務所の悪辣なマネージャーは今から手を付けろ、絶対にスターに出来るぞ、長期的には大稼ぎできる可能性もあるぞ」って騒いでたのに、周囲の業界関係者、みんな冗談と思って真面目に受け取ってくれなかったんだから。
ホントなら、こんな言い方は申し訳ないけど、藝大がちょこっと呼ぶような格じゃあありません。せめて晴海のSQWくらいで来なきゃいかんクラスです。
小生などから視ると「ヴィーンスタイルを一応は継いでいる、でもきっちり現代物とかも対応でき(グラーツで1位なし2位になったときは、本選はノーノ弾いてました。小生がライブで聴いたのは、ラサールの最後の来日以来だった)、技術力は現代の若い者の水準に達してる団体」と感じるんだけど、レッジョの大会では「アルバン・ベルクQのスタイル」と切って捨てる審査員もおりましたね。まあ、確かにそうと言えばあの世代でちゃんとやってる奴らはみんなそうなっちゃうわけだけど。どっちかというと、アルティスQの系統でしょう。だから、今回も岡山先生のラインでの藝大招聘みたいです。
日本で一番似てるのは、ヴィーン留学から戻った直後のアルモニコです。てか、そっくりです。アルモニコはその後にチェロが次々と代わったりして、日本の若手演奏家では典型的な「留学から戻ってきたときが芸術的なコンセプトのピーク」という状況は残念ながら打破できませんでしたけど。なんにせよ、日本では絶対に好かれる筈です。フーゴー・ヴォルフQが第1ヴァイオリンがくるくる代わっていて安定しない今、ヴィーンの若手のトップとして伸びてくることは確実。(ちなみに日本では「若手」として売られているアーロンQは、普通の言い方をすれば「中堅」で、ミネッティQの直接の商売敵じゃありません。)
ただ、コンクールでは結構猪突猛進するところがあって、レッジョではセミファイナルで止せばいいのにベートーヴェンの作品130を大フーガ付きでやる、なんてコンクールではやらん方が良い無茶をやり、見事玉砕しておりました。何がダメだったんだ、と審査員に食ってかかっている姿は頼もしかったですね(何が悪いって、去る9月のミュンヘン・コンクールみたいに周囲の水準が低ければともかく、レッジョのクラスだと、あそこまで技術的な破綻が目立っちゃったらどんなに自力は判っても先に行かせるわけにはいかないでしょーに、試合は一発勝負なんだから!でも、あたくしはそんな無茶含めて好きだぞ)。若者はああじゃなきゃいけない。ちなみに、経歴に盛んに書いてある「ハイドン国際室内楽コンクール」というのは、なんのことない、出身のヴィーン音楽大学の室内楽教室が今世紀に始めたコンクールで、彼らの前の優勝者はアルモニコです。レッジョで「大フーガ」を弾き終えた瞬間の勇姿。

さても、こんなどーでも良いこと綴ってるよりも、日程。なにせ音楽事務所が纏めて発表してるわけじゃないんで、あちこちのデータを集めると、どうもこんなスケジュールみたい。適当に調べてね。蛇足ながら、この前のドーリックもこのミネッティもメインに「ハープ」を弾いてるのは、この曲が6月のレッジョのコンクールの課題曲だったからです。
4日:東京 藝大奏楽堂
7日:名古屋 宋次ホール
8日:相模原 アートスペースオー
9日:花巻 あらえびす記念館
12日:苫小牧 六花亭ホール
これだけとは思えぬなぁ。判明したら追記します。8日は上野であいざわりえこさんが「ピエロ」のピアノを叩くのの裏番組になっちゃってる。うううん、花巻まで行くしかないか。
作者:Yakupen
更新日:2008年11月4日 9時54分
つくばの不思議
秋もうらうら、ホントならば選挙で大騒ぎだった筈の今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さても、茨城県では国民文化祭が盛り上がっており、つくばの地もなにやらガチャガチャやってるようですが、それはそれとして、先週あれやこれやと書き立てて当壁新聞の前でも掴み合いの喧嘩とはいわずとも、なにやらいろいろな御意見が飛び交っていたようであります。数日前のコメント欄にもちょろっと記した「つくばノバホールを拠点とする主催団体がどうしてふたつあるのか」という筑波山麓最大の謎(?)に、当壁新聞なりに決着を付けておきましょう。
論点を纏めます。北は大学、南は各種研究施設が広がる真ん中、隣の駅前に新つくば市庁舎を建設中のつくばエクスプレスつくば駅の直ぐ上、バスティーポの南側に、「ノバホール」という1000席弱の音楽ホールがあります。80年代半ば、バブルの盛り、学園都市では科学万博が行われる頃に、バブル時代に日本中に音楽ホールをばぶりばぶりと設計しまくった磯崎新氏の設計で、当時この地区にあった村が造った公立文化施設。
つくばという街を含めて、20世紀末バブルのひとつの典型例みたいな建物であります。珍しく意匠に凝らぬ真四角さで、メタリックな感じ。京都コンサートホールや水戸芸術館の大胆さまではいかないけど、カザルスホールやサントリーホールの表みたいに意図的に水平面の違いを取り込んでいるこの頃の磯崎氏らしい内部設計は、今となってみれば「バリアフリー」に喧嘩売ってるみたいで、こういうテイストは瞬く間に古びてしまった「バブル様式」としか言いようがないなぁ。
ま、それはそれ。設計者の思想がどうあれ、市の合併やら、大不況やらを乗り越えて、潰されずに生きて機能しているだけで目出度いと言うべきでありましょう。
さても、この場所を拠点にしている主催団体は、どういうわけかふたつある。ひとつは「つくばコンサート」。もうひとつが「(財)つくば都市振興財団」です。ホールの入り口にも、両主催者のポスターがてんでに貼られてる。ほれ。

後者はノバホールの指定管理を取っている、ま、普通の言い方をすれば「市の文化財団」です。事業計画書には
「つくば国際音楽祭事業 つくば国際音楽祭は、筑波研究学園都市を代表するイベントとして定着しており、平成20年度は海外招聘公演を中心に実施予定。また、特別公演として「つくばふれあいコンサート」を実施する。 実施時期 10月~12月 場所 ノバホールほか 内容 クラシック公演ほか つくばふれあいコンサート1公演」
とあります。こちらをご覧あれ。
http://tsukubacity.or.jp/info/modules/tinyd0/
で、この「つくば国際音楽祭」に井坂プロデューサーが復帰し、今、賑々しくもヴィーンっぽく繰り広げられているわけですね。ヴィーン音楽マニアの方は、ヴィーンフィルの若きコンマスのシュトイデがミニレジデンシィをするというのはそれなりに魅力的なようで、一部では盛り上がってる…のかな。ううううん。それだったらフォルクスオパーの若きコンミスのベスナでやってくれ、とあたしは言いたいが、ま、それはプロデューサーのお仕事だからしょーがない。うん。
もとい。この「つくば国際音楽祭」には、この音楽祭を支える民間の支援組織「つくば国際音楽祭を120%楽しむ会」というものがある。100世帯もが加入しているそうです(世帯、という勘定の仕方が長閑で良いなぁ)。組織的には財団とは全く関係ありません。だけど、ボランティアとして音楽祭当日の表方を手伝ったり、終演後の演奏家とのパーティを手伝ったりしているコアメンバーもいらっしゃるわけです。
つまり、「つくば国際音楽祭」というノバホールで秋に行われるイベントは、「ホールの指定管理をしている市の文化財団」に民間有志の「楽しむ会」が自発的に協力する形で運営されている。
ちなみに「(財)つくば都市都市振興財団」はノバホールでの他の文化事業も行っており、今月末に行われるアルディッティQの演奏会はこの財団が主催です。名前を聞くと文化財団というよりも都市開発財団、地域振興財団みたいだけど、少なくとも今年度の活動を眺める限り、やってるのは文化事業&国際交流だけのようです。「ノバホールの財団」と言ってもまず間違いはないでしょう。
なんだか長くなってきたなぁ、もう誰も読んでないだろうなぁ。
始めちゃったんで続けます。で、どうして「つくばコンサート」という民間主催者と市の財団とが共存しているか、という謎。きっちり話すと原稿用紙40枚くらいは直ぐに行きそうなんで、足早に纏めます。おもいっきり纏めちゃえば、話は簡単です。
ノバホールが出来る前から、この地域に1973年に東京教育大学が移ってきて、研究学園都市として整備される中で(あたしだって大学院をつくばを受けようかと思って案内をもらいに行ったことがある)、80年代の始め頃から地域にハイブロウな文化を根付かせようという動きが出てきた。ま、これは全く当然ですね。大学の内部やその関係者から出てきた動きに、某民間企業が乗っかりスポンサーとなって、「つくばコンサート」という民間主催団体が生まれました。この団体が、今に至るまで延々と様々な室内楽、それも相当にメイジャーなものの主催などをつくばで行う受け皿になってきた。だからスメタナQだとか、アルバン・ベルクQだとかが来ている。
さても、ノバホールというのは、そんな地域の民間文化活動よりも後から誕生した箱なんですね。
「なるほど、このノバホールを動かす地方文化財団が始めたのが国際音楽祭なのね、そりゃー両者は仲が悪い筈だ」と思うでしょ。
ところがどっこい、そーじゃないんだなぁ。ここがつくばの奥深いところじゃよ。
そもそも「つくば国際音楽祭」は、この地域に住む個人(この個人がどういう方か、というのが後の歴史に大きく影響するのだけど、そこは微妙なんで、こんな無責任嘘ばかり無料壁新聞には書きません)が、科学万博で科学科学と盛り上がっているが文化もやらにゃいけん、と思って、完成したばかりのノバホールを会場に、私財を投じて始めたイベントだったそうな。なんと2ヶ月で30公演近くを行い、当然のことながら大赤字となった。カメラータ東京がこのときに相当関わって、現在までの関係が築かれる元になっているそうです。
とはいえ、このような大規模な音楽祭をやれば、「ああ、素晴らしかった、来年もやって欲しいなぁ」と思う市民が出てきて当然です。ってか、出なきゃ困るわね。行政だって、こういうことがやれるのか、世界のつくばとしてはこれは有り難いことだなぁ、なんせ税収はジャブジャブあるし、なんて思うわけです。
来年は今年のような音楽祭は無理そうだ、という話が行政側や市民に広がるや、形を変えて引き継いでいこうという動きが活発化する。で、行政がひっぱり、そこに民間団体がアドヴァイザーのように協力する形で、音楽祭が続くことになった。最終的に、行政が数億のファンドを積み、その金利でプロパー職員やプロのプロデューサーも雇える財団が作られた。それが今の「つくば都市振興財団」の母体となっている。←こういう経緯は、記録しようとする気が財団側にまるでないので、地元の一部の方しか知りません。だから取材しないと判らない。でも、誰も尋ねないから語らないだけで、隠すようなことではないから、ここに書いてもかまわないでしょう。
つまり、「財団」の方が「つくばコンサート」よりも歴史が浅い。さらに、財団は10年ほどしてバブルがはじけ、地方税がどっと減り、崩壊の危機に立ち至った。実質、初期の財団の中身は一度崩壊しているようです(井坂さんがプロデュースから一度去ったのはそのため)。
「つくばコンサート」とすれば、そんな経緯で行われている「国際音楽祭」をどう思っているかは、地方の文化施設の運営をなさっている方ならば、よーくお判りでしょう。こりゃあ一緒になるのは無理ですわ。
以上、もう面倒になったので、この辺で切り上げます。このような例って、神奈川県立音楽堂とハマ音とか、他でもいろいろあるんでしょうかね。「公共ホールで公共文化財団が主催事業を行う」ってあり方は、ハコもの行政批判に対して自治省が動いて立ち上がった地域創造なんかともつながる、それほど歴史のある動きではない。せいぜいが長くても四半世紀ちょっとでしょう。それよりも古い民間主催者との関係、バブル崩壊と指定管理導入後の様々な動き、考え出せば面白いテーマはいっぱいあります。
こういうことを商売でやれる媒体は、残念ながら、ない。だからあたしゃ貧乏じゃ。いやはや。
ああ長かった。おしまい。そうじゃないぞ、という御意見、じゃんじゃん書き込んで下さい。あたしゃもう、これでギブアップ。
作者:Yakupen
更新日:2008年11月2日 13時25分
ヴィヴァルディ as ミニマリスト
当電子壁新聞には、たまに何を誤解なさったか、「こういう演奏会があるんだけど、是非、こちらで宣伝して下さい」などというメール箱への投げ込み広告があります。普段はそういうのは無視するんだけど(なんせあたしゃ、メールを読まずに捨てるんだってまるっきり平気)、これには信頼できる某同業者の裏書きがあった。で、敢えて宣伝します。以下。めんどーなんで、まんま、貼り付けます。ほれ。
なお今回、カルミニョーラは、ボローニャ貯蓄銀行財団から永久貸与された1732年製ストラディヴァーリ“バイヨン”にスチール弦でなくガット弦を張り演奏するということで、本来の音色をお楽しみいただける貴重な演奏会になるとのことです。
さてもこの演奏会、正直、大阪の郊外都市で行うにはなかなか無茶なプログラミングであることは確かですね。なんせ、あたくしめを含めて殆どの音楽ファンにすれば「どれをとってもきんたろーあめ」にしか思えないヴィヴァルディの曲を、弦楽器の作品ばかりでこれだけ集めちゃったんだから。この作曲家には魔力的なところがあるようで、超マニアさんもいらっしゃる。全国に数百人、いや、数十人のそういう方にとっては猫にマタタビみたいな演目でしょうけど。
とはいえ、逆に考えればですね、ライブの演奏会ですから、途中で「なーんだ同じだ、もーいいや、ヴァーグナー聴こー」とか、「もう繰り返しはたくさんだ、ヴェーベルンのディスクはどこだ」とか、はたまた「うゎあ繰り返し、いいなぁ、いいなぁ、ライリーのCDを買いにいかねばっ!」なんて思って、途中で聴くのを止めたり、出て行っちゃうのはなかなか難しい。これだけまとまってヴィヴァルディばかり、似たような曲ばかりを無理矢理聞かされることになるんですよ。
するとですねぇ、これがまあ、信じられないことに、耳がだんだん微妙な違いを聴き取れるようになってくるんですね。ヴィヴァルディの協奏曲やって、ベートーヴェンの序曲やって、レスピーギの交響詩をやって、なんてプログラムでは絶対に判らない、「殆ど同じような世界の中にある多彩さ」がイヤでも気になってくる。そっちに向けて耳が開けてくる。これホント。
これって、それこそ、ミニマルミュージックの聴き方と同じです。ライリーやライヒの同じパターンが延々繰り返される音楽は、繰り返しをある程度以上の時間続けることで、ひとつの静的な音楽的地平を築く。そんな世界があるから、ちょっと違った音などが猛烈に印象的になる。つまり、繰り返しのパターンが作り出す世界って、古典音楽での調性みたいなものです。あんまりそういう議論はされないけど、ミニマル好きの方はみんな気付いていることです。
似たような事は、パシフィカQが何度も繰り返してくれたカーター全曲演奏会でもありました。
正直、カーターのクァルテット、特に3番から5番までの最近の作品は、他の曲の間に入れて演奏されると、極めて印象が弱くなってしまいます。
前世紀の終わり、オタワで開催されたクァルテットシンポジウムで、アルディッティQがカーターの5番のカナダ初演をしました。当初のプログラムでは当然これが最後の筈だったのだけど、直前に西村の2番が最後にされました。ご存じのように、西村作品は大いに盛り上がる。で、本来のメインだった筈のカーターは吹っ飛んじゃった。アーヴィンは、はっきりそのことは判っていた(その意味で、作曲家にとっても厳しい人です)。カーターの作品のテーマやモチーフの極度の抽象性は、ある程度以上具体的な素材の前では、一瞬にしてコミュニケーションの能力を失ってしまう。それはもう、ああいう書き方をする以上、仕方ない。
猛烈に単純に言えば、「もの凄く淡泊なものを喰った後に味の濃いものを喰ったら、淡泊なものの記憶などなくなっちゃう」ということです。ふぐを喰らうときは一緒に鰻丼なんて食う奴いないでしょ。
だから、カーターのSQの精妙な繊細さ、特に5番みたいな曲の味わいは、味の濃い1番から順番に耳を慣らしていったところで喰らうと、もの凄く美味しく感じるわけですよ。その意味で、パシフィカのやり方はとっても正しい。あれが一番正しいカーターの聴き方ではないかと、小生は個人的には思っております。全曲サイクルで聴くと、カーターの5番って、一切大声を出さないけれど、もの凄くいろんな精密な響きがしている曲って思えますよ。取り出して聴くと、そう思うにはスコアを手にしている必要があります。
さても、ヴィヴァルディもカーターに似たところがある。ヴィヴァルディをきっちり味わいたいなら、ライブでヴィヴァルディばかり徹底的に聴くべし。ただ、弾く方が「どれを取ってもヴィヴァルディ」にしか弾けない奴の場合は、地獄の2時間が待ってるだけです。
カルミニョーラなら大丈夫、でしょ。
さても、日曜日、大阪圏で暇な方は、是非とも上記の演奏会へどうぞ。こういう演奏会、案外、ありそうでない。人生で一度きりのもの凄く貴重な機会になるかもしれません。他のステージもこんな大胆不敵なことやってるのかしら。
作者:Yakupen
更新日:2008年10月31日 17時53分
ウォール街不況になれば…
ウォール街大恐慌に端を発するイェンの乱高下が収まったようなので、11月後半からクリスマス前までの大ツアーの日程を決め始め、ともかく最初はアムステルダム市内よりも遙かに安いハーレム(オランダです)に宿を取りそこからアイントホーフェンのSQコンクール(このところお馴染みの顔ぶれが朝から晩までぜーんぶオランダ現代曲ばかり、というオソロシー日)には日帰りしよう、などと決めてヨーロッパの田舎町の安宿を予約などしていたら、もうつくばにいかにゃならん時間だ。ハーレムからアイントホーフェンまで、アムステルダム中央駅経由で1時間半くらいかぁ。湾岸から八王子にいくようなもんだなぁ。それにしても日々がバタバタと飛んでいく。ふうううう…
で、本日もひとつニュースのみ。ウォール街不況の影響が出るには早すぎるけど、ニューヨークタイムズに「あちこちのオペラやオケがドーネーションがカットでやばいことが起き始めてるぞ」という先走った記事が出ました。音楽関係の記事ばかり読んでる方には知らない単語とかがいっぱいあるでしょうけど、お勉強です。しっかり読むように。
http://www.nytimes.com/2008/10/28/arts/music/28clas.html?_r=1&ei=5070&emc=eta1&oref=slogin
興味深いのは、メトが衣装とか見えないところで予算カットを始めているということ。この結果、何が起きるか、オペラファンの皆々様、お判りかな?
答えは、「現代風に読み替えた演出が増える」です。
風が吹けば桶屋が儲かる、みたいなもんじゃない。これ、結構、真面目な話なんです。ヨーロッパの地方都市オペラが所謂モダンな読み替え演出を盛んに行う理由は、舞台装置やセットがモダンの方が安くなるからなんですね(無論、他にもいろんな理由があるだろうけど、冗談じゃなく、結構、大きな理由になってるという)。
というわけで、本日は「ウォール街が大不況になれば、メトの演出が今時のモダンになる」という小ネタでした。ちゃんちゃん。
作者:Yakupen
更新日:2008年10月30日 15時1分
つくばは遠くない!
「たびの空」カテゴリーにするのは失礼かも知れないけど、ま、気分はちょっとした旅ですのでお許しを。
つくばノバホールでのモザイクQの演奏会が午後9時に終わり、いつの間に降ったやら、しっとり濡れたホール前広場に驚きながら、遙かライトアップされたロケットを眺めつつバス停の真下に掘られたつくばエクスプレスのつくば駅9時9分発の快速秋葉原往きに乗車。なんと肘掛けから新幹線エコノミークラスみたいな小さなラップトップ置き(?)まで出てくるクロスシートに驚嘆しつつ、新御徒町で大江戸線に乗り換え、湾岸の厄偏庵の引き戸をガラリとしたのが午後10時10分過ぎくらい。おお、ホールから正味1時間と10分ちょっと。
つくばは全然遠くないです。ぜーんぜん、遠くない。
さても、つくばノバホールの公演を巡ってワイのワイの当電子壁新聞の前でいろんな議論が飛ばされていたようでありますが、本日、実際に「つくば国際音楽祭」なるものを見物し、いろんなことが判り、はたまたいろいろと判らないことも出てきました。で、明日、また出かけるんで、この音楽祭のサポーター組織「つくば国際音楽祭を120%楽しむ会」の会長さんだか幹事さんだかに、お話を聞くことにしました。どこに掲載する、ってんじゃあないですけど、ここだけの話、某媒体で「指定管理の今」みたいなことをやろうではないか、という勢いがあり、そのために指定管理導入ではっちゃかめっちゃかになったというこの音楽祭の関係者さんからデータ収集をさせていただく次第。ホントは当壁新聞くらいには発表したい中身なんだけど、そういうわけにはいかんじゃろーなぁ。
筑波山麓はすっかり秋で、午後の4時半にもなればとっぷりと日が暮れ始め、残念ながら筑波山は真っ黒なシルエットとして浮かぶにはちょっとばかし方向が悪く、中途半端な残光の中に後ろの夕暮れの空に消えてって…

それにしても、つくばノバホールの音楽祭、大学町とは思えないほど学生さんの姿が少なかったです。どうしてなのか、不思議だ。誰が聴衆の分母なんだろーか、この場所?
あ、それから、カメラータトウキョウから出るモザイクQの情報が常に「古楽器」という風に記されているのは、どうやらプロデューサーの井坂さんご本人の考えのようだ、と判りました。本日、本番前に短いお話をなさったんですが、しっかり「モザイクQは古楽器」と繰り返していらっしゃいました。客席にいらしたカントゥスQ&カサットQのヴィオラ奏者大島さんと、力一杯「?」を飛ばしてしまいましたとさ。いやはや。
作者:Yakupen
更新日:2008年10月29日 23時48分
古楽愛好家は今晩千駄ヶ谷に走れ
しまった、ボーッとしてるうちに、もう今日が本番じゃないか。慌てて宣伝せにゃ。
ええ、東京圏にお住まいの所謂「古楽」愛好家の皆様、瞞されたと思って、今晩は千駄ヶ谷の津田ホールにいらっしゃい。
http://tsudahall.com/concertinfo/concert081028.htm
この初夏の大阪国際室内楽コンクールで優勝したドーリックQが、本日から1ヶ月に及ぶ日本ツアーを開幕します。最大の聞き物は、本日のプログラムで披露されるハイドンの作品50の2です。
この連中、普通の意味で言えば、全くの「モダーン」な連中です。バックグラウンドにも古楽の影響などこれっぽっちもありません。イギリスの中学生ミュージックキャンプで知り合ったファーストとチェロが始めた団体ですから。
ところがどっこい、この世代のロンドンベースの音楽家は、もう「古楽」とか「オーセンティック奏法」は楽器を持ち始めた頃から常識なんですね。で、彼らのハイドンは、何も知らずに聴けば、「おおお、古楽器奏法の影響を受けた団体だぁ」と思わざるを得ない。別にノーリントンやらガードナーに習ってるわけじゃない。チェロ君曰く、「モザイクQを聴いてね、ああ、これがそうだよなぁ、って思ってさ」とのこと。
つまり、もう「古楽」とか「モダン」とかの区別が殆ど無意味になった、あるタイプの楽譜を前にしたら全く自然に「奏法」やピッチのレベルまで違えるのが当たり前になった最初の世代なんですね。昨年のメルボルンの優勝団体、バドクQも古楽器のオケでバイトしてる連中ですし。
正直、こういうやり方は全面的に受け入れられているわけではなく、大阪後のレッジョ・エミリアのコンクールでは本選で弾いたハイドンを巡り、審査員の間で妥協の余地がないほど厳しい対立があったそうな(両方から愚痴を聞かされる身になってくれ!)。結果としてドーリックQは「ハイドン特別賞」が与えられることになった。せっかくだからお写真をちっちゃく。結果発表翌日、遙かカノッサ城を眺める夕日の丘で記念撮影されるドーリックQ。誰が撮影してるか判ってほほえましいと笑えた貴方は、完璧なSQ業界人!

良くも悪くも「めったやたらと数を聴いている耳年増のロンドン聴衆及びすれっからし評論家向け」という面は否定しないけど、自分で楽器をモダンから古いタイプに戻しちゃって弾いてたり、世界中の大小古楽レーベルのCDを聴きまくってたりする日本のディープな古楽オタクの皆様なら、大喜びすること間違いなし。実際、「ストラッド」のレッジョのレポーターさんなんて、「どうしてこいつらが1位じゃないのか」と大むくれです。うううん、狙ってやってるなぁ、奴ら。
さああ、ここまで言われたら、もう聴くっきゃないでしょ。問題は、本日は裏番組にやっと来日が叶ったコンセール・スピリチュエルの太鼓ドンドコ、ラッパぷっぷか、古楽器マニアが圧倒的な音響の中でエクスタシー感じまくりの派手派手パーフォーマンスがあることだわなぁ。うううううん。やっぱり、日本中の古楽マニアがこっちいっちゃうわなぁ。なんせ「古楽のマーラーの8番」だもんなぁ。
でっかい音が嫌いな古楽好きだけでいいですから、千駄ヶ谷に来てちょーだいな。
なお、ドーリックQの日本ツアーはまだまだゴッソリあります。イギリス音楽好きには、何故か大分と大阪でしかやらないウォルトンの弦楽四重奏曲が聴き逃せないぞっ!こちらから、「グランプリコンサート」というところを押して下さい。
http://www.jcmf.or.jp/
追記
東京公演、無事、終わりました。残念ながら古楽系マニアさんは皆無でしたが、晴海やら大曲やら青葉台やらにいらっしゃる東京圏の室内楽ファンは勢揃いの前でのお披露目でありました。正直、彼らのトップフォームからすれば4割引くらいの出来でしたけど、逆にキャラはすっかり顕わになっちゃった演奏で、愛好家諸氏の間でも賛否が割れていましたね(ダメなときは表現が萎縮するんじゃなく、表現が行き過ぎちゃうタイプの連中ですから)。ヴェルスQにせよジュピターQトウキョウにせよ、本気で世界で商売してこうってんなら、こういう連中が直接の同世代の商売敵になってくわけです。ちょっとは焦ったりビビったりして貰いたいもんですな。
終演後に立ち話しか出来なかったんだけど、来年の2月にハイドン作品50と70なんぼでCDを入れるそうです。「コマーシャル録音なのか」と尋ねるとそうだと申しておりましたので、来年の後半には日本でも手に入るようになるでしょう。ドーリックQの音楽は「CDに載りやすい」タイプですから、またそこで賛否両論じゃないかな。
なお、会場には店頭でもアマゾンコムでも売ってない大阪国際コンクールのライブ録音を1500円也で販売しております。CDコレクターはドーリックQがお近くにお寄りの際には会場まで是非どうぞ。
作者:Yakupen
更新日:2008年10月28日 12時5分
業界ネタ三連発+人事募集
10月を31日にしてくれた神様には心から感謝する次第であります。なんせ、月末までに3本。うち1本は、まだ編集側の最終方針決まらず、待ち状態(締め切りのみ確定)。これで書け、ってのが無茶だぜっ!
で、今、昨日炊きすぎた富山米を朝に嫁ちゃんがきゅっきゅ握っておいてくれたのを、オーブンでこんがり焼いて、お醤油ペタペタ塗った焼きおにぎりにして昼飯に喰らいながら、漫然と眺めていた某ヨーロッパ系業界紙最新号からのニュースをいくつか。どれもこれも日本で報道されてるのか、わしゃ知らん。
★エッシェンバッハがワシントンDCのナショナル響音楽監督に就任。2010年から3年契約だそうです。もう68歳ってのが驚きだなぁ。NJPに客演し、フランツとアヤシイ視線を交わしながら2台ピアノ協奏曲を弾いて、その後にブルックナーの6番をやったのは今でも覚えてる。いつのまにか「北ドイツを代表する大指揮者」になっちゃった。オバマ大統領のDCで、コープランドとかを指揮してる姿なんて想像もつかないけど。
★一部でやたらと評価が高かったエッセンの新フィルハーモニー、その活動の中心となっていたディレクターのカウフマン氏が、急に解任になったそうです。これはドイツでは相当話題になってるようだ。演奏家は完全にカウフマン派で、なにやら一騒動ありそう。
ま、事はどうあれ、このようにどんなに世間的な評価が高いディレクターでも、ボードの意向で簡単に解雇できるシステムは、非常に健全ですね。日本のコンサートヴェニューや主催者団体のディレクターは、基本的に年次契約ではないので、就任するといつまでも居座って、どんどん組織が内向きになっていく傾向にある。あっちもこっちもそれで困ってる(でも本人には決してそんなことは言わず、周囲や現場の愚痴ばかりがどんどん外に漏れ、あたしらみたいな者んところにまで伝わってくる、いやはや)。そんな風に内容的に腐って野垂れ死んでしまうよりも、どんどんディレクターとボードが喧嘩して、演奏家や作曲家、はたまたメディアを巻き込んで大騒動になるほうがよっぽど良い。頑張れ、新国立劇場!あたしゃ、今起きてる騒動こそ正に、国立劇場を造ったからこその素晴らしくポジティブな騒動だと思っております。←業界内超少数意見!
★シンガポール政府が文化政策に800万シンガポールドルを拠出する5カ年計画を策定。F1グランプリも大成功し、いよいよ本気で「ブンカ」もやるようですなぁ。
ちなみに、律儀にきっちりプレスリリースを送ってくれるエスプラネードの広報ちゃんに拠りますと、1月初旬にシンガポール響がケント・ナガノ指揮で「エレクトラ」演奏会形式上演をやります!皆さん、いきましょーいきましょー。こだまさんち、お正月はシンガポールかぁ。いいなぁああ。
もひとつついでに、人事募集。「音楽の友」誌編集部が、緊急に編集助手を求めています。http://www.ongakunotomo.co.jp/content/info/ontomo_assistant.html このままでは編集部スタッフが過労死しかねない状況です。編集部現場の意向は、ある程度PCスキルのある人、だそうです。働く気のある、意欲ある、そしてなによりも体力と精神力のある若者よ、3日くらい寝ないで膨大な演奏会データの入力をやっても大丈夫なパワフルギャルorボーイよ、人気の神楽坂で働いてみないか!世界一安くて旨い回転寿司があるぞ!世界一の焼き豚肉まんがあるぞ!裏道をちょっと入れば、綺麗なおねーさんもいっぱいいるぞ!
作者:Yakupen
更新日:2008年10月27日 14時8分
会場と主催者
昨日の「書いてあることはみな嘘ばかり」の当電子壁新聞、早速、内容に対して間違いの指摘がありました。昨日のコメント欄をご覧下さい。
このご指摘は、小生がつくば市のノバホールを会場に開催されている一連のクラシック系コンサートシリーズに関して「よーわからんなぁ」と感じていたことを一発で解決して下さるありがたあああいご指摘でありました。
さても、なに言ってるかよーわからん、という方(対象はアートマネージメント学生くらいかな)のために説明しましょう。ってかね、「アホのやくぺん先生がなにを誤解しており、何を指摘されたか」がきちんと説明できれば、アートマネージメントの今学期の単位くらいは差し上げましょ。うん。
整理すれば以下です。
★アホのやくぺん先生の勝手な誤解と疑問
・つくば市のつくばエキスプレス駅やら長距離バスターミナルやらがある交通の中心部にあるノバホールという会場では、随分と昔からクラシックのコンサートが行われている。アルバン・ベルクQが来たり、スメタナQなんかまで来てるようなところで、いかにも東京圏の学園都市らしいハイブロウなシリーズが行われているぞ。
・来週いろいろ派手なイベントがあるようだな。主催者は市なのかなぁ、なんか自主運営の音楽協会みたいなものがやってたように思うんだけど、そのNPOだかに市がお金を出すような形なんだろうか?スタープロデューサーを連れて来たりしてるから、そこそこ予算はあるようだし、どうなってるんじゃろか?
★アホのやくぺん先生に対するぼーやさんからのご指摘
・ものを知らぬ哀れなやくぺん先生よ、ノバホールを拠点に演奏会を行っている主催者はふたつあるのじゃ!ひとつは、つくばコンサートという民間団体である。もうひとつは、来週からの「国際音楽祭」なるものを主催する(限りなく)市が運営する団体である。全く違う団体なのじゃぞ。よく勉強せいっ。
なーるほど、ものすごく良く判る説明です。あらゆる疑問が説明されますね。
つまり、「つくば市近辺の音楽好き市民がやってる民間団体」と「つくば市の税金でやってる御上の文化財団」とが、同じ会場で全く別のイベントをやっている。ノバホールをベースとする主催団体がふたつあるわけですわ。前者は典型的な「地方音楽協会」です。後者は、そうねぇ、日本やヨーロッパでは今や主流となっている「公共ホールの自主公演」みたいなもんです。
これが民間団体の案内 http://www.tins.ne.jp/~tsukuba-concert/top.html
これが市の財団の案内 http://www.tsukubacity.or.jp/
普通の規模の地方都市ならば、この両者が共存するのは財政的にも聴衆の規模からも困難で、どっちかに統一されるもんです。今の日本では圧倒的に行政主導。
巌本まりQが年間に120公演もやってまわっていた頃は、日本各地に労音など前者の団体がいっぱいあったが、労音の没落とバブル時代を経て、そのような健全な地方民間音楽協会は淘汰されてしまった。絵に描いたような「官による民業の圧殺」です。なんせ、一頃、自治体はジャブジャブ税収がありましたからねぇ。
だから、地方公共ホールでなにか騒動があったときに、そこで行われていた活動やソフトを受け入れる先がなくなってしまったりする。栗東騒動のときも、栗東市などをベースとする地域楽友協会が存在していて、動きに関わってはいたのですが、さきらの主催事業を肩代わりする、なんて勢いはまるでなかったですね。
もとい。要するに、つくば市というか、つくば学園都市は、「やがてNPOを目指そうなどという議論がされている民間音楽協会」と「市の公共ホール主催者」とが、(実態はどうあれ)ともかく共存出来るほども大きな聴衆の分母を持っている。文化的にもの凄く豊かな場所なのであーる、ってことでありますわ。
小生の意見を率直に言わせていただけば、「とはいえ無駄なことやっとるなぁ、市だってこの先の財政を考えたら、民間の主催団体を育成するように動いて、自前の音楽祭は止めちゃえばいいのに」ってことになるけど…ま、そういうわけにもいかぬいろんな事情があるのであろー。
結論:つくば市は文句なしのちょー文化都市である!
作者:Yakupen
更新日:2008年10月25日 16時45分