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【本】個人データ保護―プライバシー権とは“自己情報コントロール権”なのか?(3)
技術革新が進めばプライバシー権が強化され、プライバシー権が強化されればそれを破る技術革新が進んで・・・
この“矛と楯の衝突と強化”が過去どのように繰り広げられて来、そしてこれからどのように繰り返されていくのか。
技術者出身で法律を研究するという稀有な立場である著者の視点から、今を説き、未来を予測する本。
日本におけるプライバシー法理論はいまだ未成熟
個人情報をビジネスで扱っているビジネスパーソンなら、この本の中に自分のビジネスに関係するテーマが絶対にあるはず。
あとがきを読むと、その点についての著者の自信のほどが伺えます。
私は、すくなくとも目次については類書なし、と言い切れる本を書きたかった。なぜ、こんな目次になったのか。それはプライバシー保護について、元技術者である私が、あるいは元企業人である私が、おもしろいと思った事例を列挙したからである。この点、まず、読み物としても楽しんでいただけるはずである。つまり、この本は逐条解説でもなければ、マニュアルでもない。
ということで、目次を見ていただくのがこの本の魅力を推し量っていただく一番確実な手段です。
是非以下リンク先出版社HPで確認していただければと思います。
▼個人データ保護―みすず書房
1点だけ、法務的観点から、目次では伝わらないこの本の特徴を一つ補足させていただくと、この本で取り上げられているネタは、アメリカでの技術進展と法理論との衝突(特に合衆国憲法修正4条の解釈論)を中心としていること。
日本法の解釈論を期待している方にはご満足いただけないかもしれません。
しかし、なぜこの本がそうなったかといえば、日本においてはまだプライバシー権と技術の衝突について、法理論の方が未成熟で追いついていないからに他ならないのではないか。
私はそう考えます。
「自己情報コントロール権」から「利用対価請求権」へ
日本のプライバシー権に対する法理論が未成熟な点について、この本からもう1点。
私は以前のエントリーで、プライバシー権を「自己情報コントロール権」と考えている日本の最高裁判例に否定的である旨、繰り返し見解を述べてきました。
▼【本】プライバシー権・肖像権の法律実務―プライバシー権とは“自己情報コントロール権”なのか?(1)
▼【本】情報化時代のプライバシー研究―プライバシー権とは“自己情報コントロール権”なのか?(2)
この点に関し、この本の著者である名和先生は、現代の技術が相互監視を可能としてきたことを前提に、私の問題提起に対してこのように明確に答えて下さっています。
第一世代のプライバシー保護を支える理念は「独りに置いてもらう権利」であった(1章)。第二世代のそれは「自己情報に関する流通制御権」であった(4章)。しからば第三世代の理念、つまり相互監視の環境下における理念は何か。ここではすでに自己データは相手に捕捉されている。とすれば、せいぜい可能なことは、現状の追認と咎められることを覚悟しなければならないが、その捕捉されたデータの濫用に歯止めをかけることしかない。そのための算段として、個人データの利用にコストをかける、つまり対価を支払わせる、という解があるだろう(14章)。こう考えると、第三世代のプライバシー保護理念は「自己データの利用に対価を求める権利」ということになる。
私が感じていた「自己情報コントロール権」への違和感について、その考え方がおかしいのではなく、技術革新に対して時代遅れなのだと一蹴した上で、プライバシー権は利用対価請求権に変わっていくだろう、と整理されているわけです。
この「利用対価請求権」という整理は、私が以前のエントリーで申し述べてきた違和感を解決しうる整理法であり、納得感のある理論と思います。
プライバシー権にもフェアユース?
この「“コントロール権”から“対価請求権”への移行」という整理って、どこかで同じようなこと考えたな、何かに似てるな・・・としばし黙考。
そして思い出しました。
つい最近のエントリで話題にした、「著作権とは対価報酬請求権なのでは?」という議論とまったく似ているなと。
▼【本】マルチメディアと著作権―DJ兼ビジネスブロガーな私が「創作者とユーザーが紙一重な時代」の著作権法を考えてみた
▼著作権を報酬請求権にすることは可能
そうなると、そのうちプライバシー権についても、著作権のようにフェアユースみたいな考え方がでてくるんですかね(笑)。
いや、笑い事じゃないかも・・・。
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作者:businesslaw
更新日:2008年12月1日 7時8分
【ケーススタディ】抵当権・譲渡担保権・相殺の優劣/親子会社間の保証
ケース
銀行Xは、平成15年4月1日付けで、平成19年3月31日を最終返済期日とする10億円の金銭消費貸借契約をAと締結した。
Xは、この担保としてA本社の土地建物(以下本社物件という)に10億円の第一順位抵当権の設定をうけ、またAの筆頭株主であるBより極度額30億円の連帯保証金を取得した。
BのAに対する出資比率は37%で、Bの取締役2名がAの取締役を兼任しており、うち1名は代表取締役に就いている。
その後Aは、リストラの一環として、平成18年4月1日より月額賃料500万円、敷金6,000万円で本社物件をCに賃貸し、AのBの社屋を借り受けた。ところが、このようなリストラの甲斐なく業績は悪化し、また平成18年頃から高利金融に手を出していたことがBに発覚、Bが支援を打ち切ったため、平成18年12月末日に第1回手形不渡、平成19年1月に破産手続開始決定を受け、破産管財人Yが選任された。
Aは高利金融のZに対し、平成18年7月ごろCに対する将来の賃料債権を担保として譲渡しており、第1回手形不渡発生後、AよりCに対して内容証明郵便により賃料債権をZに譲渡した旨の債権譲渡通知が配達されていた。
CはAの破産手続開始決定後も本社物件を使用し続けているが、賃料は敷金の返還請求権と相殺すると主張し、支払いを留保している。
Xは、残債権5億円に対し、本物件の売却見積もり価格が2億円程度であるため、競売の申立は見合わせている。
問題
設問(1)
X銀行の立場から
①本社物件にかかる賃料債権について、いかなる権利行使が可能か。
②賃料債権を担保として譲り受けたZ社に対して、どのような主張
が可能か。
③反対債権をもって賃料支払い義務の相殺を主張するCに対して
どのような主張が可能か。
設問(2)
破産管財人Yは、Zの債権譲渡担保に対し、いかなる対抗手段を取りうるか。
設問(3)
Cの賃料支払い留保に対し、破産管財人Yはどのように争うことができるか。
設問(4)
X銀行がBから保証を取得する際に留意すべき事項は何か。
回答
設問(1)
①抵当権に基づき、物上代位によりCに対して賃料の支払いを求めることができる。
②Zは同一債権につき譲渡担保の対抗要件を先に具備しているが、民法304条の「払渡または引渡前」には債権譲渡は含まれないと主張し、抵当権に基づく物上代位の差押はZの譲渡担保権に対抗できると考える。
③敷金返還請求権は目的物の返還時に発生することから、賃料債権を差し押さえることにより、Cが賃貸人であるAに対して有している敷金返還請求権による相殺には対抗されない。
設問(2)
Zに対し、破産法72条に基づき、Aによる債権譲渡担保権の設定とその通知について否認権を行使することにより、Zに対抗できる。
設問(3)
Cの相殺の主張に対し、Yとしては、相殺適状にないことをもって対抗する。破産手続開始決定後に敷金返還請求権が権利として発生してはじめて、Cはこれを自働債権とする相殺が可能となると考えるべきである。
設問(4)
Bの取締役会による承認を得させ、その取締役会の議事録を確認することが必要である。
Bの取締役2名がAの取締役を兼任し、うち1名は代表を務めており第三者のために会社と取引を行う間接取引として無効を主張されるおそれがあること、およびBのAに対する保証が多額の借財に該当し、取締役会の決議が必要であることが考えられるからである。
要復習ポイント(自分用メモ)
・抵当権に基づく物上代位は債権譲渡担保より優先
・敷金返還請求権は目的物の返還時に権利発生
・破産法の否認権
・子会社の取引に関する親会社としての取締役会決議の有無確認
(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case36を基に検討)
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作者:businesslaw
更新日:2008年12月1日 6時0分
【ケーススタディ】債権回収手段としての他契約履行拒絶
ケース
平成20年11月30日、XはYに対し、内装工事を3,400万円で発注した。
請負代金の支払期日は平成21年5月末日と定められ、Yはこの工事(第1工事)を4月までに完成させ、Xに引き渡した。
さらに、Yは追加で別の内装工事(第2工事)を5,500万円でXに発注し、こちらは7月10日までに引き渡すこととなっていた。
ところがYは、第1工事の代金支払期日の1週間前になって、「5月末日に払うことはできない。とりあえず3分の1を払うので、残りは8月~10月の間に3分割して払う。」と提案してきた。
Yはこの提案を固辞したが、Xも譲らず、支払期日の5日前の5月26日に第2工事を一時中止し、第1工事の代金支払いをXに求めた。
ところがXはなおも分割弁済案を撤回しないため、Yは5月28日に第2工事の履行意思がないことを伝え、いつでも再開できる範囲で工事を撤収した。
そこでXは、Yに対し、第2工事の請負契約を解除することを伝え、第2工事をZに発注した。
問題
設問(1)
請負代金債権の時効期間は何年か。
設問(2)
Xは、Zに発注しなおさざるを得なくなった結果、
・Yの中途工事解体
・新たな図面作成
・Zへの発注代金
合計7,300万円の損害賠償をYに対して請求した。
Yはこれを支払わなければならないか。
回答
設問(1)
3年(民法170条)
設問(2)
支払う必要はない。
Xが第2工事を中止した理由は、Yが負う第1工事の代金支払い債務が不履行になっているためであるが、これは第2工事についてXが同時履行の抗弁を主張できる原因とならないのが原則である。
しかし、第1工事と同様Xが先履行義務を負い、さらに請負代金額も増加している第2工事について、第1工事の不履行の状況から再び不履行となる可能性が高いにも関わらず、Xに一方的に先履行を求めるのは公平に欠けるものであり、Xにはいわゆる不安の抗弁を認めるべきである。
Xは第1工事を期日どおり完了しており、また第2工事の中断についてもいつでも再開できる形で中止しつつYに協議を呼びかけており、信義則上も問題無く、Yが主張する損害賠償について帰責性は認められないと考える。
要復習ポイント(自分用メモ)
・請負代金債権の時効期間は3年
・不安の抗弁
(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case35を基に検討)
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作者:businesslaw
更新日:2008年11月30日 10時0分
引用の限界
webサイト等からのコピペはだめだよっていうことを、現場社員に研修なんかで話していると絶対に出てくる質問(というか反論、ではなく抵抗)。
「でも、引用だったらいいんですよね?」
現職の人材サービスは、ご紹介する企業に関する情報を口頭で/メールで/文書で求職者に提供する情報ビジネスです。そのために、新聞・雑誌・webサイトなどからいろいろな情報を日常的に収集しています。
その情報収集・伝達のシーンにおいて、(著作権に疎い社員が行いがちな)許諾を得ない記事のコピペ・転載は、限りなく違法な複製でありまた二次利用であり、著作権侵害であると言わざるを得ない。
日本の実態に鑑みると厳しすぎるかもしれませんが、私はそう回答しています。
しかし、「出所明示をはじめとする適法な引用要件を満たせば引用として認められる余地はあるのではないか」と、現場から詰め寄られるケースも増えてきました。
法曹でもない私が、厳しめの法解釈論をぶっても説得できないか・・・そんなもどかしさを感じていたところ、手に入れて間もない中山信弘先生による『著作権法』P256にこんな記述が。
引用の概念は特に定義されていないが、報道・批評・研究等の目的のために、他人の著作物を自己の作品(著作物である必要があるか、という点については後述)に採録することといえよう。その意味から、自己の編集著作物やデータベースの中に他人の著作物を利用することは、その目的からして引用に該当しない。
編集著作物やデータベースへの取込みに限定した言及ではありますが、中山先生にこれだけはっきりとNoと言ってもらえてすっきりしました。
このように考えると、報道・学術利用と違う営利を追求するビジネスでの情報収集と流通において、「引用の必然性」要件を満たすことはほぼ不可能と考えなければならないかもしれません。
そこで出てくるのが最近話題の“フェアユース”なわけですが、その話題は私も勉強を深めてからまた取り上げたいと思います。
引用の限界論については、FJneoさんがgihyo.jpに連載された記事がありますので、是非そちらもご覧ください。
▼ネットだから気をつけたい! 著作権の基礎知識
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作者:businesslaw
更新日:2008年11月29日 16時15分
【ケーススタディ】個人保証・不動産担保がある場合の緊急時債権回収
ケース
Xが取引しているA社について「営業不振で資金繰りに窮している。メインバンクのY地銀が手を引き、Z信金と取引するようになった。」との噂が聞こえてきている。
平成20年2月7日現在のXとAの取引状況は以下の通り。
1)債権残高
2,700万円(売掛債権850万円/受取手形債権1,850万円)
2)個別契約
Aからは2月出荷分として300万円の注文があり受注済み。
3)担保
①A社長及びその父の個人保証(期間及び限度額の定め無)
②Aの定期預金500万円に対する質権設定、預金証書
③Aの不動産に、順位4番極度額2,000万円の根抵当権設定
登記。先順位は取引銀行2行と商社1社の根抵当権で極度
額3億円
4)その他
①X商品は、Aへ出荷する場合とAの指図先に直送する場合
がある。
②Aとは、X所定の売買基本契約書により契約しており、
3)①の個人保証はその契約書への連署によるもの。
③最近XはAより毎月150万円程度の商品を購入している。
問題
A社長より2月9日付け手形350万円のジャンプ要請が入った。手形ジャンプに応じ取引を継続したところ、Aの仕入先の一部が取引を打ち切り始め、Aの資金繰りが一層悪化、Aの常務でXに行為的なB氏から「一週間後に手形が不渡りになる」との情報がもたらされた。
法的に許される範囲で、どのような債権回収方法があるか。
回答
1)担保の再評価と回収不能債権の見積もり
3種類の担保のうち、Aの不動産の現在価値を試算した上で、質権設定している定期預金債権とあわせXのAに対する債権のうち回収不能となる見込み額を見積もる。
AおよびAの父の個人保証については、金融機関等にも同様の保証を差し入れていることは間違いなく、回収見込み額の試算に組み入れるべきでない。
2)売買契約の解除
個別売買契約及び売買基本契約の合意解除を行う。
3)商品回収の交渉
Xの商品がA及びAの指図先にあれば、Aの承諾および指図先の承諾を得た上でいち早く回収する。
4)代物弁済の交渉
現金はないことが予想されるので、他の在庫商品等による代物弁済に応じられないかを交渉する。
5)相殺
XはAより毎月150万円の商品を購入していることから、相殺適状にある債権債務を相殺すべく、Aに対し配達証明付き内容証明郵便で相殺通知を送付する。
商品の必要性にもよるが、Aからの商品購入の代金債務を増やすことで相殺額を増やすことも検討する。
6)仮差押・仮処分の申立
状況によりAの財産散逸を防止すべく、Aの財産および在庫商品に対し仮差押及び仮処分を申し立てる。
要復習ポイント(自分用メモ)
・特になし。ケース設定細かい割に論点が少ないですね・・・
(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case34を基に検討)
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作者:businesslaw
更新日:2008年11月29日 11時0分
【ケーススタディ】中古トラックの故障に伴う損害賠償請求と支払拒絶
ケース
Aは自動車の販売会社である。
Aは、運送会社Bに対し新車登録から1年半経過した中古トラックを1年前に販売したが、このたびそのトラックの修理依頼を受け、サービスセンターで修理をさせることにした。故障の内容ははっきりせず、Bいわくエンジンに不具合があるとのことであった。
仕事にすぐ使用するとのことで、エンジンを洗浄し調整を行う応急措置で対応し、BのX課長もエンジンをかけて問題ないと判断したようですぐ受け取って帰った。
ところが一週間後、X課長から電話があり、「運送途中でエンジンが再度トラブルを起こし、荷物が運べない。生鮮食料品なので損害が出たら弁償してもらう」と通告してきた。
問題
設問(1)
エンジンのトラブルにより、Bは運送期限を守ることができず、荷主から1,000万円の損害賠償請求を受けたため、Bはその全額をAに請求してきた。Aとしてはどう反論すべきか。
設問(2)
Bはトラックの代金を3年分割で購入しており、残り2,000万円のうち1,000万円をこの損害賠償と相殺する旨通告してきたが、Aはこれに応じなければならないか。
設問(3)
Bは損害賠償に応じないなら残額2,000万円の支払いを停止する旨申し入れてきた。A社としてどのように反論すべきか。
設問(4)
Bがクレジット会社を利用して分割払いをし、Aはクレジット会社から代金全額をすでに受領している。設問(3)のケースのようにBが支払いの停止を主張した際、クレジット会社の社員としてはどのように反論するか。
回答
設問(1)
まず、中古トラック売買契約の瑕疵担保責任について整理する。
販売後1年間は特にトラブルがなかったことから、当該エンジンの故障は隠れた瑕疵と考えることができる。Bは瑕疵の存在を知ってから6箇月以内であればAに対し損害賠償または解除を請求できる。
今回Bは損害賠償を請求しており、その範囲が運送契約が履行できなかったことによる損害を含むかどうかが争点となっている。売買契約の瑕疵担保責任の範囲は条文上明らかではないが、判例上は原則として買主が瑕疵を知らなかったために被った損害(信頼利益)、通常は修理費用相当額の損害賠償に限られ、瑕疵があったためにすでに契約のできていた運送が履行できず利益を得ることができなかったことについての損害(履行利益)までは請求できないとされる。これをもって、Bに反論すべきである。
次に、中古トラック修理サービス契約における債務不履行責任について整理する。
債務不履行による損害賠償の範囲には、信頼利益だけでなく履行利益として債務者が予見しうる特別損害も賠償の対象となりうる。今回、この予見可能性については運送会社で使用するトラックであること、仕事で用いていることを聞いていること等から、予見可能性はあったと言えなくもない。
一方、A社は、Bから指定された限られた時間内でできる修理を施し、しかもBの責任者の確認を経て修理したトラックを引渡している。この修理サービス契約の履行においては、Aの故意または過失はなかったと考えられ、このことから債務不履行責任はそもそも存在しないことを主張すべきである。
設問(2)
上記(1)検討の結果、Bの損害賠償請求を認めるのであれば、相殺適状にはあるため相殺に応じることとなるが、受け入れないスタンスであれば応じずに請求をすべきである。
設問(3)
Bの主張が瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求であれば、これを有効と受け入れた場合には代金請求権と同時履行の関係に立つため、Aはそれ以上の代金の支払いを請求することはできない。
一方、Bの主張が債務不履行責任に基づく損害賠償請求であれば、これを有効と受け入れた場合であっても同時履行の関係に立たない。従い、Bが相殺をしない以上あくまでBは履行遅滞を発生させていることになる。従い、Aとしては相当期間をおいて履行を催促し、それでも払わなければ契約解除および損害賠償請求を行うこととなる。
設問(4)
クレジット会社の社員としては、Bに対して支払いを請求しうる。
中古トラックは自動車の売買であり指定商品である。割賦販売法30条の4に定める抗弁権の接続により、Bに瑕疵担保責任上の損害賠償請求権が認められればそれとの同時履行を主張し、販売会社Aに対し抗弁を出すことも検討する必要があるが、本件中古トラック売買は購入者Bが商人であり付属的商行為となるため、同条4項2号により適用はされないためである。
要復習ポイント(自分用メモ)
・今更ながら信頼利益・履行利益・通常損害・特別損害の関係が
はっきり語れない。特に履行利益と特別損害の関係が?
・請求原因の違いによる同時履行の抗弁可否
―瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求→抗弁可(民法576条)
―債務不履行責任に基づく損害賠償請求→抗弁不可
・割賦販売法30条の4 抗弁権の接続 は全く知らず。
(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case16を基に検討)
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作者:businesslaw
更新日:2008年11月28日 6時24分
【雑誌】FACTA―普通の書店やAmazonでは買えない、世の中のウラを知りたいビジネスパーソン向け総合情報誌
私の貴重な情報源となっている、総合情報誌『FACTA』。


政治の闇の話
上場企業の倒産兆候
新興宗教の内部紛争
…
などなど、世の中のウラ話にとことんフォーカスするこの雑誌。
怪しいブラックジャーナルのように見えてしまうかもしれませんが、最近ではBUSINESS LAW JOURNALなんかでも広告を出しているぐらい、ターゲット読者層はあくまでビジネスパーソンのアッパークラスなので、俗っぽさはありません。
『選択』『Foresight』などと同様、一般の雑誌のように書店では販売されておらず。Amazonでも買えず、年間定期購読が原則となりますが、大手書店には数冊ずつ置いてあったりします。私は文教堂で買っています
内容に興味ある方は、HPで一部記事が読めますのでご覧になってください。
▼FACTA online
毎月20日発売です。
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作者:businesslaw
更新日:2008年11月27日 7時0分
【ケーススタディ】量産品のティーカップ/工芸品の茶器に対する不良クレーム対応
ケース
Yは、高級食器や美術的工芸品を販売する専門店を経営している。
顧客Aより、Yに対し「ティーカップの把手が突然取れた。1年しかもたないのは不良品である。新しいカップに替えて欲しい。」とのクレームがあった。Aには1年前にYの店舗で英国製のティーカップとソーサーのセット一組を15,000円で販売していることが分かっている。
また同日顧客Bから「まだ一度も使用していない茶器にヒビが入っていた。最初からあったヒビだと思うので返品したい。代金を返して欲しい。」とのクレームがあった。Bには2日前に志野焼の茶器1点を30万円で販売している。
問題
設問(1)
Aの請求の法的根拠について評価し、どのような現実的対応をとるべきか述べよ。
設問(2)
Bの請求の法的根拠について評価し、どのような現実的対応をとるべきか述べよ。
回答
設問(1)
Aに販売した英国製カップとソーサーのセットは不特定物である。不特定物の売買契約においては、引き渡した時点で商品に明らかな欠陥がありそれを引き渡したことにYの責めに帰すべき事由がある場合には、不完全履行として債務不履行責任を負うことになる。債務不履行責任が認められれば、Aが請求する代替品への交換も完全履行請求権の一つとして認められうる。
1年経過してからこのような欠陥を主張してきている点は多少の悪質性を感じるが、債務不履行責任の消滅時効は10年間であり、法的には責任が発生しうる。
具体的な対応としては、債務不履行の不存在の立証責任がYにあることもあり、Aに引き渡したカップが元々欠陥商品であったのか否かを明らかにする。カップをAから預かるなどして使用状況を調査するほか、カップに構造上の欠陥はなかったか、同じロットで生産されたカップで同様の事象が発生していないか等調査の上で、欠陥が無いと証明できることが確認できるかどうかを確認し、その結果をもってAの要求に応じるか否かを検討する。
設問(2)
Bに販売した志野焼の茶器は特定物である。特定物の売買契約においては、瑕疵があった場合には無過失で瑕疵担保責任を負うことになる。瑕疵担保責任が認められれば、法定の損害賠償請求権として代金の返還請求も認められうる。請求の時期としても、瑕疵担保責任は特約の無い限り1年間であるので問題ない。
具体的な対応としては、瑕疵の不存在の立証責任は本来Bにあるものの、茶器をBから預かるなどしてこれを調査し、梱包・運送にあたり問題はなかったか、引渡し時において明らかに目視で確認できるヒビはなかったのか販売員に確認するなどの調査を行い、その結果をもってBの要求に応じるか否かを検討する。
要復習ポイント(自分用メモ)
・不特定物の欠陥は瑕疵担保責任ではなく、債務不履行責任と
して対応
参考文献
・売買契約における売主の担保責任―債務不履行責任と瑕疵担保
責任の比較(P121~152)。
(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case15を基に検討)
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作者:businesslaw
更新日:2008年11月27日 6時34分
【ケーススタディ】食中毒クレームへの対応と法的責任
ケース
Yが経営するレストランで、家族3人で食事をしたXから翌朝
「昨夜のレストランの食事が原因で家族が食中毒にかかった。妻は入院している。」
と連絡が入った。
レストラン部門からは、
「これから出向いてお見舞いをしつつ、詳しい事情を聞こうと考えているが、対応において法的に留意すべきことはあるか。」
「今後、損害賠償請求等どのような展開が予測されるか。」
との問い合わせがあった。
問題
設問(1)
法的見地から、レストラン部門が顧客Xに会って確認すべき事項は何か。
設問(2)
Xに最初に接触する際、どのように接し、Yの法的責任についてどのような見解をもって言及すべきか。
設問(3)
Xとその家族以外に検査すべき対象、確認すべき事実と相手方を述べよ。
設問(4)
食中毒の原因がYのレストランの食事にあった場合、XはYに対し損害賠償請求をなしうるが、その法的根拠を3つ挙げよ。
設問(5)
Xらが法的に賠償請求しうる損害の項目を列挙せよ。
回答
設問(1)
・食事をしてから発症にいたる経緯
・診断内容(診断書)
・嘔吐物の提供可否
・現在の病状
・当日の他の食事内容
・既往症、アレルギー等の有無
・通院/入院の見込み日数
・発症者の職業
設問(2)
病状についてお見舞いし、レストランの食事に原因があったのであればお詫びをしたい旨、断定的にならないように気をつけつつまずは謝意を述べる。そして、レストランの食事に原因があったのかどうかを調査中であること、調査結果については専門家等も起用し真摯に検討し改めて報告する旨申し伝える。
敵対的なムードをなるべく解消し、むしろ相手方から詳しい経緯や周辺情報を提供してもらえるような関係作りに配慮し、相手の発言を記録しておく。
Yの法的責任については、事実関係を明らかにし食中毒の原因物質がレストランの食事にあったと判明したときは、補償その他損害賠償について改めてご相談させていただきたい旨にとどめ、否定も肯定もしないようにしておく。
設問(3)
・レストラン内の食材、器具の検査
・調理師、配膳人の検査
・主治医へのヒアリング
・保健所へのヒアリング
設問(4)
・債務不履行責任(民法415条)
・製造物責任(製造物責任法)
・不法行為責任(民法709条)
設問(5)
・通院費
・入院費
・入院雑費
・交通費
・休業損害
・慰謝料
要復習ポイント(自分用メモ)
・所轄保健所への類似事例ヒアリングは思いつかなかった。
・料理でも製造物責任が追求できる。
・入院雑費 裁判上は1,300円~1,500円の確定金額で請求できる。
・休業損害は学校に通学する者については請求できない。
・後遺障害が残れば、逸失利益や後遺障害慰謝料請求の可能性も
ある。
(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case14を基に検討)
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作者:businesslaw
更新日:2008年11月26日 6時27分
【雑誌】BUSINESS LAW JOURNAL No.10 1月号―制約vs利便性のジレンマを乗り越えた情報漏洩防止策を
今月のBLJの特集は「情報共有ノウハウ&漏洩防止策」。
情報漏洩防止策に関する新しい会社への提案をまとめていたところだったので、じっくり読ませて頂きました。
究極の漏洩防止策は・・・やっぱりない
まずどうしても目が行ってしまったのが、実際に事故を起こされた経験をお持ちの、凸版印刷/ジャパネットさんの再発防止施策事例。
ルール整備、従業員広報、実態調査、第三者認証取得、内部監査員養成、機密保持契約徹底、ICカード/生体認証、操作ログ記録、監視カメラ設置、メディアへの書き出し検知、教育研修、理解度テスト実施、人事評価への反映・・・
あれだけの事故を起こした後でも、漏洩防止策としてやっていることは自分の会社のそれと一緒だな、というのが率直な感想。
それは裏を返せば、漏洩防止策をいくら徹底しようと思っても、できることは限られているとということでもあります。
制約vs利便性のジレンマを乗り越えるための工夫と配慮
このような施策を次々繰り出して情報セキュリティを高めようとすると、社員の業務効率や利便性は相対的に下がっていくというジレンマに、会社は悩まされます。
従業員も、情報の重要性は認識しているので協力はしてくれるでしょうが、このジレンマを、ちょっとした工夫や配慮で少しでも破ることができれば、その施策は一気に社内に浸透するに違いありません。
それを目の当たりにしたのが、富士ゼロックスさんと日立情報システムズさんの事例でした。
富士ゼロックスさんでは、プリンターの出力制限に一工夫。
社員証(ICカード)をかざさないと紙が出力されない制限をかけているのですが、PCで印刷キューを出しておけば、どこのプリンターでも自分の社員証をかざしたプリンターから紙が出力ができるという仕組みを作っているとのこと。
会議前なんかは、席を離れる前にPCで印刷をかけ、会議室近くのプリンターにカードをかざしてそこで資料を受け取れるなど、置き忘れなどのリスク軽減だけでなく、利便性も感じられる仕組みといえます。
日立情報システムズさんでは、自宅/フリーメールへのメール送信制限で細やかな配慮が。
自宅/フリーメールへのメール送信を許可制(客先であっても)にする一方で、例えばPDFで配信していた給与明細など、従業員が自宅で見たい書類は人事がわざわざ直接従業員の自宅メールアドレスに送信しているそうです。
ここまでやっていることもあって、さすがにこの制度への不満も発生していないそうです。
スタッフとしては、このような「お、なかなか考えたな」と従業員に感心してもらえるような工夫や配慮あふれる施策を捻り出したいものですね。
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作者:businesslaw
更新日:2008年11月25日 6時50分
【ケーススタディ】模倣製品への法的対応
ケース
Aは、PCとソフトウェアの開発・製造・販売を行っている。
AのPCは独自のデザインが人気で、販売も好調である。また、プレインストールされているソフトウェアも使い勝手がよいと、このPCの競争力を生んでいる。
問題
設問(1)
Aのパソコンのデザインを真似たPCがBより販売された。
Aの法務担当として、どのようなアクションをAの経営者に提案すべきか。
設問(2)
Aのソフトウェアが違法コピーされ、Cから違法コピーソフトウェアが販売された。
Aの法務担当として、どのようなアクションをAの経営者に提案すべきか。
設問(3)
Aの代表取締役は、DからAのパソコンに使用されている技術の一部がDの特許を侵害するとの警告書を受領した。
Aの法務担当として、どのような手順で対応すべきか。
回答
設問(1)
意匠権を設定登録していれば、これに基づく製造・販売の差止めおよび損害賠償をBに対し請求すべきである。
意匠権を設定登録していなければ、商品形態の模倣(不競法2条1項3号)として、不正競争防止法に基づき同様の請求を行う。
Bがこれらに応じないようであれば、販売差し止めの仮処分を申し立て、訴訟提起も辞さない意思を示す。
設問(2)
著作権法に基づく著作権侵害として、コピー・販売の差止めおよび損害賠償を請求すべきである。
Cがこれに応じないようであれば、訴訟販売差止めの仮処分を申し立て、訴訟提起も辞さない意思を示す。
設問(3)
Dが主張する特許侵害の内容について、Dの特許の内容を調査するとともに、具体的にAのPCのどの技術がDの特許を侵害しているのかを確認した上で、弁理士等に依頼し特許侵害の有無について法的な検討を行う。
特許侵害のおそれがあると判断した場合には、当該技術を使用せずに新しい技術を開発して製造するか、Dからライセンスを受けて製造を継続するか、第三者から同様の技術のライセンスを受けるかを比較検討する。
なお、Dの特許出願よりも先にAのPCが開発、販売されていたことを証明できる場合は、先使用権の抗弁を行うことも検討したい。
要復習ポイント(自分用メモ)
・不正競争防止法 商品形態の模倣
・先使用権の抗弁
参考文献
・商品形態の模倣について(P61~72)
(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case43を基に検討)
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作者:businesslaw
更新日:2008年11月25日 6時30分
【DVD】レインメーカー―米法廷におけるマナーをドジなマット・デイモンを教材に学びましょう
「レインメーカー」とは、お金の雨を降らせる弁護士の意。
弁護士数過剰の街といわれるメンフィスを舞台に、マット・デイモン演じる新米弁護士ルーディが、白血病での保険金支払いを渋る大手保険会社側についた大弁護団を相手に、訴訟で立ち向かうドラマ。
原作:ジョン・グリシャム
監督:フランシス・F・コッポラ
主演:マット・デイモン
という超豪華な布陣。
にもかかわらず、浮ついたハリウッド的要素が極力抑えられた、落ち着いた人間ドラマに仕上がっています。
他の法廷ドラマと違うのが、正しい反対尋問の仕方や証拠の提出の仕方を知らない新米弁護士ルーディを、裁判官や相手方弁護士が嗜めるシーンが随所に出てくるところ。
いちいちドジって怒られるちょっと間抜けなルーディことマット・デイモンの弁護士としての成長を通して、アメリカの法廷マナーも学べます。
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作者:businesslaw
更新日:2008年11月24日 8時0分
【ケーススタディ】取引先の信用不安に対する対応方針決定プロセス
ケース
Xは、部品製造販売会社Yより部品を買い入れて小型機械を製造するメーカーである。
XはYから舞い月末締め翌月末全額手形払いの条件で部品を買い入れ、一方Yに対しても納入3ヵ月後振込決済を条件として製品を販売している。
そうした中、A銀行からYのXに対する売掛債権について1,000万円を限度とする仮差押通知が送達された。社長いわく、A銀行に追加担保を求められて交渉中になされたもので心外であり、営業に支障はないとのこと。
なお、仮差押決定受理時におけるXのYに対する未収金残高は600万円であった。
Xの小型機械製造にあたっては、Yの部品が不可欠である。
問題
設問(1)
Xとして、Yとの取引を継続すべきか否かを決定する判断材料として確認すべき事項は何か。
設問(2)
Xの対応選択肢を述べ、その判断にあたり考慮すべき事項を説明せよ。
回答
設問(1)
第一に、Y以外の部品調達先確保の可能性を確認することが必要である。
Yから買い入れている部品がXの機械製造に欠かせないものとなっていることから、Yとの取引が解消されても製造が継続できる代替品調達先を確保できなければ、Yとの取引を継続しないという選択肢は事実上選択できなくなる。
第二に、YのAに対する債務、およびYの財務状況を確認することが必要である。
A銀行が仮差押を実行するにいたったということは、YのAに対する債務について履行遅滞または履行不能となっている可能性が高く、さらにその他資産状況から任意弁済の可能性すらなくなっている可能性すらある。A銀行に対しどのような債務を負っているのか、履行状況その他財務状況を、調査機関による調査や社長、財務担当役員へのヒアリングによって確認すべきである。
第三に、XのYに対する債権債務を確認する。Yからの未収金もあることから、相殺適状にある債権債務の金額を確認しておく。
設問(2)
代替品調達先が無い場合は、Yに対する支援を検討する必要がある。
Yの財務状況を確認の上、A銀行に対する債務の代位弁済、運転資金の融資、新株引受等により、Yの営業を継続させXへの部品供給を確実にしておく。
代替品調達先が確保できる場合は、Yの財務状況により取引停止を検討する。相殺後の残債権額に応じ追加の担保権の設定交渉を行い、Yがこれに非協力的な場合には、仮差押を検討する。
要復習ポイント(自分用メモ)
・参考答案では、選択肢検討にあたり代替品調達先の確保は最優先
事項とされていないが、自分の答案の方が自然かなと思う。
(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case33を基に検討)
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作者:businesslaw
更新日:2008年11月24日 7時0分
【ケーススタディ】動産売買における未払代金回収の手段
ケース
AはBに家庭用品1,000万円分を販売したが、代金未払いのままBは破産手続開始決定を受け、破産管財人Yが選任された。
Aの営業担当Xは、Bの代表取締役Pから、販売した家庭用品のほぼ全数が展示されたまま100店舗ほどに分散保管されているとの情報を得た。またPは、他の債権者Zが、破産手続開始決定直前に、Pの承諾を得て展示品の一部を代物弁済として持ち去っていることについても、詳細な説明は拒みながらも認めている。
問題
設問(1)
Xとして、実務上なにをすべきか、考えられる事項を答えよ。
設問(2)
法的整理手続きが開始していなかった場合に、実務上なにをすべきか、(1)と同様に答えよ。
設問(3)
Bが個人事業主の場合などで、破産後の就職による給与収入等により破産手続開始決定後に新たに財産を取得している場合、Aはこの財産から任意弁済を受けられるか。
回答
設問(1)
・書証等の確認
A商品販売時の契約書、納品書、受領書等伝票類が存在しているかどうかを確認する。
・B社資産状況の確認
B社の負債総額や現有資産を確認し、回収可能性を検討する。
・B社に対する債務の確認
相殺による回収可能性を検討するため、AのBに対する債務の有無を確認する。
・破産管財人との交渉
Yに対し、展示されている商品およびZに代物弁済として引き渡した商品について、書証等を用い動産売買の先取特権が成立する旨を主張し、保全の必要性を理解させる。
可能であれば、Yの承諾の上展示商品の引き上げを実施させてもらう。その際、破産管財人に対しては、破産後に売却し換価するよりもAにこれを返還し破産財団を縮小した方がメリットがあることを主張する。
設問(2)
・商品回収の交渉
売買契約の合意解除を行い、Bの承諾を得た上で、いち早く商品を回収する。
・代物弁済の交渉
現金はないことが予想されるので、他の在庫商品等による代物弁済に応じられないかを交渉する。
・担保権の設定交渉
Bと交渉し、他のB在庫商品について動産譲渡担保を設定させAによる占有を認めさせる交渉を行う。
・詐害行為取消権の行使
ZへのA商品の引き渡しについて、Zに対し詐害行為取消権に基づくBへの返還請求を行う。
・仮差押・仮処分の申立
特にBが協力的でない場合は、Bの財産散逸を防止すべく、Bの財産および在庫商品に対し仮差押及び仮処分を申し立てる。
設問(3)
任意弁済を受けることが可能である。
破産手続開始決定後の新得財産は、破産者が自由に処分できる。
要復習ポイント(自分用メモ)
・破産管財人に保全の必要性を理解させ、破産管財人による換価
処分が破産財団にデメリットを与える点を理解させる。
・他社商品に対する動産譲渡担保権の設定+占有までは検討でき
ず。
・破産手続開始決定後の新得財産による任意弁済は可。
参考文献
・取引先の在庫商品から債権を回収する際のセオリー/書式
(P199~202)
(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case32を基に検討)
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作者:businesslaw
更新日:2008年11月23日 12時0分
【ケーススタディ】有価証券(手形・株券)盗難時の対応
ケース
甲の従業員Xが出社すると、会社の金庫が荒らされ、
・取引先Aから担保として預かっていたA名義の上場株券
・取引先Bが振り出した約束手形
が盗まれていた。
Xは直ちに警察に盗難届けを提出し、株券については、C証券に株券の銘柄・記番号・名義人等を伝え、持ち込まれても売却に応じないよう依頼した。
問題
設問(1)
盗まれた約束手形について、甲として取るべき行動を述べよ。
設問(2)
数日後、盗まれた株券が第三者によりC証券の支店に持ち込まれ、証券取引所を通じて売却された。
当該株券は、C証券が売方、D証券が買方となって取引が行われ、C証券がD証券から受け戻し(事故のない株券と差し替え)、C証券が保管している。
甲はC証券に対し、いかなる請求ができるか。Cからの反論とあわせて述べよ。
回答
設問(1)
まず取引先Bに連絡し、取引銀行に対し事故届けをしてもらうよう要請する。これにより、取引銀行が当該手形の支払いを拒絶することが期待できる。
同時に、裁判所に対し公示催告を申立て、除権決定を取得する。これにより、除権決定以後に手形を善意で取得した者に対しても対抗できる。
設問(2)
甲としては、まず第一に所有権に基づく株券返還請求を行うべきである。
これに対しCからは、Dに売却した時点でDが株券を善意取得している旨反論してくる可能性がある。(会社法131条)
続いて、株券の売却に応じないよう依頼したにもかかわらず売却したことについて、債務不履行に基づく損害賠償請求を行うことが考えられる。
これ対しCからは、売却に応じない依頼を承諾していないことによる債務不存在を主張される可能性がある。
3番目の手段として、株券が持ち込まれた際に真の権利者であるか事故情報を調査せずに応じたことにつき、証券会社としての注意義務を果たしていないことについて、不法行為に基づく損害賠償請求を行うことが考えられる。
これに対しCとしては、株券の占有者は適法な所持人と推定される(会社法131条)。このことから、そのような高度な注意義務・調査義務はない旨反論される可能性がある。
要復習ポイント(自分用メモ)
・公示催告申立→除権決定
・会社法131条(権利の推定等)
1.株券の占有者は、当該株券に係る株式についての権利を
適法に有するものと推定する。
2.株券の交付を受けた者は、当該株券に係る株式について
の権利を取得する。ただし、その者に悪意又は重大な過
失があるときは、この限りでない。
(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case13を基に検討)
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作者:businesslaw
更新日:2008年11月22日 9時0分