大学受験生にとって、勝負の分かれ目となる夏休み。JR代々木駅の改札口を出ると、大手総合予備校や、東大や医学部受験の専門予備校が主催する夏期講習に向かう受験生の列ができていた。最近では、少子化に加え入学手段の多様化などにより事実上の大学全入時代と言われるが、難関校は今もなお高き壁のようだ。
まるでIT企業のオフィスビル
そんな予備校街・代々木でひときわ目立つ地上26階・地下2階のガラス張りのタワー。北口改札から新宿方面に徒歩約5分の距離にある。都会的で洗練された外観から業績好調な外資系金融機関かIT関連企業の本社ビルかと思わせるが、今年4月に開講した大手総合予備校の代々木ゼミナール(代ゼミ)の本部校舎「代ゼミタワー」だ。

校舎内には、教室や講師室、自習室、進学相談室のほか、15階にはスカイレストラン「ベルヴュラウンジ」があり、さらに18〜25階に学生寮(家賃は約17万円から)まで完備されていることに驚かされる。受験生はタワーから一歩も外に出ることなく、一日中勉強に集中できる環境である。つまり、合格までに必要なすべてのサービスを代ゼミタワー内で「ワンストップ」で提供しているというわけだ。
自分も約20年前は受験生だったが、当時は参考書や文具、交通費、昼食代、予備校の受講料などが主な受験費用だったように思う。あとは、せいぜい受験シーズンに合わせてエアコンを勉強部屋に設置するくらいか。当時は、自分も含め多くの受験生やその親は、「学習環境」にお金をかけることを今ほど考えていなかった。
さて時代は変わり、少子化が進む今、当然予備校業界でも対策を練っている。一般に「売り上げ=客数×客単価」と考えられているが、「客数」すなわち高校生の数が減少しているため、業界はおのずと「客単価」を高める戦略に走ることになった。その結果、大教室での集団指導から、小教室での少人数制指導、さらには先生と生徒が1対1で授業を行う個別指導に移行することで客単価を上昇させた。
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